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黄色ブドウ球菌の食中毒

369 2016年10月2日
黄色ブドウ球菌の食中毒
 昔は黄色ブドウ球菌の食中毒はけっこうたくさん発生していましたが、今は少なくなりました。2015年は全国で10件200名がこの食中毒に罹っています。
この食中毒は衛生知識が広まり、清潔にして、リスクを知り、リスクを避ける対策を行えば防ぐことができます。
 黄色ブドウ球菌による食中毒は、地域の行事で起こしていました。地域の運動会とか、お祭り、災害時には炊き出しを行っていました。福岡では、「かしわのおにぎり」が定番で、手洗いの不足や常温で保存される事が多く、このかしわのおにぎりが原因となるケースが多く見られました。今はそのような行事であっても衛生管理に気を付けるようになって激減しました。しかし、油断は禁物です。黄色ブドウ球菌は身近にたくさんいる菌です。
 うどん屋、ラーメン屋のおにぎりも保管場所の温度に注意し、おにぎりの回転を考え、手袋やラップ、型抜きを使ってください。
 水仕事の人は手荒れに注意し、寝る前にクリームや馬油を塗る等のお手入れが大事です。手荒れのひどい人は、慢性的に手に住み付いている事があります。
 弁当屋やホテルで定期的に手指のふきとり検査を行っていますが、最近黄色ブドウ球菌の検出率が高くなっています。これは、ノロウイス対策として手洗いを重視してよく手洗いを行うようになったことと、手洗い用の洗剤・殺菌剤が強力になり、皮脂の外部刺激に対する防御能を司る皮脂膜を過度に除去することで手荒れが生じ、さらに皮膚が荒れている人が爪ブラシを使用することでひどくなり、そこに黄色ブドウ球菌が住みついてしまったと考えられます。またアルコールも手荒れをひどくする原因となります。
 以前は大腸菌群数が陽性の人から黄色ブドウ球菌が検出されていましたが、今は手洗いを真面目に行い、大腸菌群数陰性で手洗いが出来ている人から黄色ブドウ球菌が検出されています。手洗いの基本は手の汚れや菌を洗い流すことです。消毒に頼り過ぎてはいけません。
 対策
・ 手にやさしい洗剤に変える メーカーに問い合わせてください。
例えば「花王の薬用C&C10 泡ハンドウオッシュ」等
・ 仕事が終わったらハンドクリーム、馬油で手のお手入れをする。
・ 柔らかい毛の爪ブラシに変えて過度にこすらない。
・ 使用後の爪ブラシは消毒液(アルコール)に浸けておく
・ 手指の消毒用アルコールはごく少量にする
・ 手指のふき取り検査をする

黄色ブドウ球菌について
黄色ブドウ球菌は、化膿したところ、おでき、水虫、にきび、のどや鼻の中、動物など私達の身近にあり、この菌が付着した手指などから食品を汚染する機会が多いため、この細菌による食中毒が発生します。この菌は、食べ物の中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素が人に危害をおよぼします。酸素のない状態でも増殖可能で、多少塩分があっても毒素をつくるため、汚染を受ければ、あらゆる食品が原因食となる可能性を持っています。

黄色ブドウ球菌による食中毒
平成12年大阪の雪印乳業(株)の低脂肪乳による黄色ブドウ球菌食中毒事件が有名です。1万人を超える大きな食中毒事件となりました。
エンテロトキシンという毒素は100℃30分の加熱でも分解されません。
このリスクを知らずに、「もう1度加熱するから大丈夫と」脱脂粉乳製造中停電して、長時間30度~50度の温度帯に放置されエンテロトキシンが大量に生成された物を使用したのが原因です。潜伏時間は、約30分から6時間で、はき気、おう吐、腹痛が主症状です。
油断してはいけません。ふきとり検査でこの菌の検出率が上昇しています。

黄色ブドウ球菌食中毒予防ポイント
・おにぎり、サンドイッチが原因食となることが多い。
・手指などに化膿巣のある人は、食品を直接さわったり調理をしない。
・手指の洗浄消毒を十分に行うこと。
・水仕事の多い人は寝る前に馬油やハンドクリームで手入れすること。
・食品は10℃以下で保存し、菌が増えるのを防ぐこと。
・調理にあたっては、帽子やマスクを着用すること。
・包丁の柄、水道の蛇口、冷蔵庫の取手など多くの人が触れる場所を清掃、消毒しましょう。

集団給食で気をつけたいアレルギー様食中毒

368 2016年9月18日
集団給食で気をつけたいアレルギー様食中毒
 昔から、サバなどの赤身魚やその加工品を食べた後1時間位で、顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱などの症状を呈する人がいました。当初は体質によるものと考えられていました。最近は、鮮度の低下したマグロ、カツオ、サバなどの赤身魚に含まれるヒスタミンが原因となることが分かり、アレルギー様食中毒として処理されています。
 アレルギー様食中毒の届け出の多くは、学校などの集団給食施設や飲食店で、同時に多くの人が発症した場合であり、家庭での報告事例はほとんどありません。家庭での発症は、症状が比較的軽く、短時間で治ってしまうことが多いので、届け出がないまま終わってしまうケースが多いようです。しかし、実際には家庭でも結構発生していると思われます。
 アレルギー様食中毒の原因物質はヒスタミンという化学物資です。そのため、わが国の統計では化学性食中毒に分類されています。ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれているアミノ酸のヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌の作用で生成されます。したがって、この食中毒は細菌性食中毒と同じと考え、防止対策の面からは微生物由来であることを理解すべきです。
 食中毒が起こるほどのヒスタミンが生成するには、
(1) 遊離のヒスチジンが多量に存在すること
(2) ヒスタミン生成菌が付着していること
(3) ヒスタミン生成菌が増殖してヒスタミンを生成すること----が条件となります。
魚介類の流通過程でヒスタミン生成菌が付着しやすい所は、常識的に魚由来の細菌が多く棲息する場所で、魚介類をたくさん扱っている鮮魚卸売り市場の海水、魚介類を入れるトロ箱、魚が接触する器具、手指だと推定されます。
 つまり、魚介類の水揚げから流通の過程の衛生管理が、アレルギー様食中毒を防止する決め手となるのです。魚種別にヒスチジン濃度を見ると次のようになります。いずれも魚100g中に何mgのヒスチジンが含まれるかというmg%という単位で表されます。ブリ1500、サンマ1100、キハダマグロ1000、ホンマグロ、1000、マイワシ910、ムロアジ870、ウルメイワシ740、シマアジ 700、マサバ650、カタクチイワシ610、トビウオ570、マアジ220、ヒラス200といった具合です。
 いったん生成されたヒスタミンは魚を加熱しても分解されません。調理施設では、温度管理が悪くていったんヒスタミンが増えると、生成されたヒスタミンを減らす手段はありません。つまり、納品された食材のヒスタミン量でアレルギー様食中毒の発生の有無が決まってしまうのです。したがって、使用する食材、納入業者を選定することがとても大切なことがお分かりいただけるでしょう。

(1)アレルギー様食中毒とは
 サバなどの赤身魚やその加工品を食べた後1時間位で、口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱などの症状を呈する。鮮度の低下したマグロ、カツオ、サバなどの赤身魚に含まれるヒスタミンが原因となることが分かり、アレルギー様食中毒として処理されています。

(2)ヒスタミンによる食中毒
 ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれているアミノ酸のヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌の作用で生成されます。したがって、この食中毒は細菌性食中毒と同じと考え、防止対策の面からは微生物由来であることを理解すべきです。

(3)アレルギー様食中毒の防ぎ方
 いったん生成されたヒスタミンは加熱しても分解されません。流通過程や冷凍魚を解凍する時、納品されてからの温度管理が悪くていったんヒスタミンが増えた魚は、調理過程で生成されたヒスタミンを減らす手段はありません。つまり、納品された食材のヒスタミン量でアレルギー様食中毒の発生の有無が決まってしまうのです。したがって、使用する食材、納入業者を選定することがとても大切です。
 ヒスチジンを多く含む魚は、ブリ、サンマ、キハダマグロ、ホンマグロ、マイワシ、ムロアジ、ウルメイワシ、シマアジ、マサバ、カタクチイワシ、トビウオ、マアジ、ヒラスです。
 食中毒が起こるほどのヒスタミンが生成するには、
 (1)遊離のヒスチジンが多量に存在すること
 (2)ヒスタミン生成菌が付着していること
 (3)ヒスタミン生成菌が増殖してヒスタミンを生成すること
 魚介類の流通過程でヒスタミン生成菌が付着しやすい所は、魚由来の細菌が多く棲息する場所で、魚介類をたくさん扱っている鮮魚卸売り市場の海水、魚介類を入れるトロ箱、魚が接触する器具、手指だと推定されます。

野菜による食中毒

365 2016年8月7日
野菜による食中毒
 食中毒というと、まず頭に浮かぶのが肉や魚などですが、実際には野菜を原因食材とする事件もかなり起こっています。生野菜をサラダとして食べる習慣があるため、その食中毒リスクは無視できません。生食野菜は加熱殺菌を行っていない以上、ゼロリスクを要求するのは不可能と考えるべきです。
 米国でも「健康に配慮して」生野菜の摂取量が増えたためか、野菜類に起因する感染症が増加しています。葉もの野菜の中ではレタスが比較的、微生物汚染が激しいことが知られています。
 野菜の中でも「もやし」や「かいわれ」のような水耕野菜は、路地野菜と比較して大腸菌群数や一般生菌数が高く、また汚染指標菌である大腸菌の検出率も高い。また。コンビニやスーパーで、消費を伸ばしているカット野菜や野菜サラダも、製造過程の微生物制御の難しさを示す報告があります。以前、私がいた検査センターでの食品の細菌検査結果でも、かいわれ、カット野菜、キュウリは細菌の検出率も高く、消毒も難しいようです。
生食用野菜及び果実は赤痢菌・サルモネラ・病原大腸菌等、種々の病原菌やウイルスを媒介することが知られています。これらは農場の水源、あるいは施肥された未完熟堆肥に混入した、家畜由来の病原菌などが、農産物に移行したものと考えられている。このために「収穫前」の衛生的な生産管理が、収穫後と同様に重要です。
 野菜を原因食材とする食中毒事件のかなりの部分は、保管・運搬・調理の過程で、肉や魚から菌が野菜に移った2次汚染によるものと考えられています。このようなケースを防ぐには、運搬・保存の際に肉や魚の汁が漏れないように注意すること、また調理の際にはまな板や包丁などを使い分けるか、あるいは調理器具をきちんと洗った後に野菜の調理に移ることが必要です。
 ここ最近、野菜の「漬け物」で食中毒が起こるケースが相次いでいます。伝統的な漬け物については、比較的高い塩濃度と、乳酸発酵によって生じた酸や抗菌物質によって、長い漬け込み期間中に、混入した食中毒菌の死滅が起きると考えられてきました。しかしこのような事件は、どれも「浅漬け」で起こっています。いずれの事件も、製品まで原因が遡ることは可能でも、そこから上流の原料を特定し、汚染原因を解明することには成功していません。よってこれらの事件の原因となった微生物が、製造・調理の現場で混入したものか、それ以前の原料に付着していたものか、明らかにすることは極めて難しいようです。
 また、加熱しているから大丈夫とも言えません。野菜のゆで汁に細菌を植える研究によると、野菜のゆで汁は細菌の増殖がすごく早いということがわかりました。つまり、一端加熱した野菜は生野菜に比べて細菌が増殖しやすい状態になるということです。ほうれん草のおひたしが味や臭いがおかしいという苦情はよくあります。

1)なぜ生野菜に注意が必要なのか
  腸管出血性大腸菌O157は牛の腸管にいます。そのため、生食の牛レバ刺し、牛のたたきが原因となることが多いのですが、最近、野菜が原因となるケースが増えてきています。
 O157の感染事例で原因食品と推定されたものは、井戸水、牛レバ刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ等の牛肉及び牛肉加工食品、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、白菜漬け、キュウリ等の野菜があります。

(2)野菜類による食中毒
 2002年、栃木県の病院、老人保健施設で発生した腸管出血性大腸菌O157による食中毒は昼食の「香味あえ」が原因食で、材料はホウレンソウ、蒸しささみ、刻みネギ、ショウガ汁などした。
 また、福岡市の保育園で発生した病原性大腸菌O15食中毒は給食の「キュウリの浅漬け」が原因食品でした。
 サルモネラ、キャンピロバクターの食中毒では、2次汚染で生野菜、野菜の加工品が原因食品と推定されるケースが多く見られます。

(3)食中毒予防のポイント
 ・表示、特に取り扱いの注意書きは良く確認して、新鮮な物を購入する。
 ・購入した野菜は、汚染を受けないように清潔なビニール袋などに入れて運ぶ。
 ・汚れや水濡れを起こし易い場所には野菜を置かない。
 ・野菜と肉や魚などが接触したり、肉汁等がかからないようにする。
 ・包装されている野菜やカット野菜もよく洗う。
 ・ブロッコリーやカリフラワーなどの形が複雑なものは、熱湯でゆがく。
 ・レタスなどの葉菜類は、一枚ずつはがして流水で十分に洗う。
 ・きゅうりやトマト、りんごなどの果実もよく洗い、皮をむいて食べる。
 ・とくに、病院、保育園、老人施設では、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤で消毒したり、キュウリなどは、熱湯によるブランティング(30秒~1分熱湯につけ直ちに冷水で冷却)を行うと効果的です。

夏場の食中毒状況

362 2016年6月19日
夏場の食中毒状況
厚生労働省の食中毒発生事例から7月1日~8月31日に発生した食中毒事件を病原物質別にカウントしてみました。
  2007年  2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
腸炎ビブリオ菌   17件   10件  12件  22件   9件 2件
サルモネラ菌    38件   33件  27件  22件  37件 12件
黄色ブドウ球菌   29件   23件  13件  18件  17件 19件
ノロウイルス     6件    2件   8件   4件  14件 21件
カンピロバクター  103件   136件  72件  71件 110件 84件
ウエルシュ      7件    3件   3件   3件   3件  4件

夏の代表的食中毒の腸炎ビブリオは、激減しました。油断は禁物です。暑い夏は室温放置など少しの油断で急速に腸炎ビブリオが増殖するからです。調理加工が細分化され、1番大事な魚介類を捌いて真水で良く洗うという工程が仕入れ先の魚屋さんで行われ配送されるケースが増えました。洗ってから配送、保管と喫食迄の時間が長くなり、その間の保管温度、時間のチェックが大事です。仕入れ先の魚屋さんの衛生管理が重要な鍵を握り魚屋さんの選定が食中毒予防の重要ポイントになってきています。
水産食品に対する規格基準の要点
1 切り身、むき身の生食用鮮魚介類加工品
 成分規格―製品1gあたり腸炎ビブリオ最確数100以下
 保存基準―生食用鮮魚介類加工品は、これを10℃以下で保存。
清潔で衛生的な容器包装で包装して保存
 表示基準―生食用である旨。
10℃以下で保存しなければならない旨。
2 煮かに(ゆでかに)
 成分規格―腸炎ビブリオが陰性であること。(検査法は別紙のとおり。)
煮かに(ゆでかに)は、10℃以下で保存
冷凍煮かに(ゆでかに)にあっては、これを-15℃以下で保存
 表示基準―そのまま食用に供するものであるかないかの別。
10℃以下で保存しなければならない旨。
漁獲後の魚介類
腸炎ビブリオの汚染がない海水を利用するよう努めること

腸炎ビブリオ菌について
  腸炎ビブリオ菌は好塩菌のー種で、沿岸の海水中や海泥中にいます。1日の最低気温が15℃以上、海水温度が20℃以上になると海水中で大量に増殖し、魚や貝に付着して陸上に運ばれます。
  海水とほぼ同じ塩分(3%前後)で発育増殖しますが熱や酸に弱く、真水の中では生存できません。一般の細菌は普通30分から45分で分裂して増えますが、腸炎ビブリオは、条件さえ良ければ10分たらずで分裂し増殖します。しかし、10℃以下では増殖しません。この菌による食中毒は、
 昔、サルモネラによるものと発生件数の1位、2位を争っていましたが、最近は減少しています。その発生時期は7月から9月の夏場に集中します。

(2)腸炎ビブリオ菌による食中毒
  原因食品としては、魚介類の刺身やすし類が代表的なものです。生の魚介類を調理した後の調理器具や手指などを介して、冷蔵庫の中でこの菌に汚染された2次汚染もあります。
  潜伏時間は約6時間から32時間で、激しい腹痛、下痢などが主症状です。発熱、はき気、おう吐を起こす人もいます。

(3) 食中毒予防ポイント
 ・魚介類は、調理前に流水(真水)で良く洗うこと。
 ・魚介類を真水で洗う事が菌を減らすことで、それからお客さんが食べる迄の時間とその関の温度管理が大事です。
 ・魚をブロックで仕入れる時は、捌く場所の衛生状態と配送をチェックすること。
 ・魚介類に使った調理器具類は良く洗浄・消毒してニ次汚染を防ぐこと。
 ・魚介類はわずかな時間でも5℃以下で冷蔵保存すること。

腸管出血性大腸菌O157は死に至ることもある

360 2016年5月15日  
腸管出血性大腸菌O157は死に至ることもある
 大腸菌は、人や家畜の腸内に存在し、ほとんどのものは無害ですが、いくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、腸管出血性大腸菌と呼ばれています。この中で、特に毒力の強いベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすものを、腸管出血性大腸菌といいます。1996年の堺市などの集団感染で有名になったO157はその代表的なものですが、そのほかに026,O111,O128など多くの種類があります。
 特徴は、非常に少ない菌数でも発症します。潜伏期間が2~9日と長い。感染力が強くわずかの菌数でも感染し、人から人へと広がります。

白菜の浅漬けによるO157食中毒について
 2012年北海道で腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生しました。130人以上が発症し8人が死亡した大規模な食中毒事件となりました。原因食は、白菜の浅漬けでした。当初、「野菜の消毒液の濃度をチェックしていなかった」と言われていましたので、感染ルートは、原材料の白菜と思ったのですが、札幌市保健所の調査で発生源となったと同じ白菜からO157感染者は当該製造者以外に見られず、これ以上の産地調査は不要と判断し、これまでの感染経路の調査で、食中毒の原因が製造者の製造、管理工程にあると断定しました。
 この事件の影響で白菜が売れなくなるという風評被害が発生しました。大規模の食中毒の場合、生産者を含む広範囲の遡り調査は、風評被害を拡大するという難しい問題があります。
 白菜の浅漬けによるO157食中毒の原因が製造者の製造、管理工程だとすると、従事者の手指や調理器具からの2次汚染が考えられます。白菜の消毒が形だけの「つもり消毒」になっていたのかもしれません。

焼き肉チェーン店でユッケを食べた客がO157食中毒
 焼き肉チェーン店で集団食中毒が発生した。提供されたユッケを食べた客が、腸管出血性大腸菌O-111やO157に感染。4人が死亡し、患者数は118人に達しています。
 私は食品衛生監視員の時は、レバ刺し、ユッケ、鳥刺しを提供しないよう指導をしてきました。最初にこの事件を伝えたワイドショーでは、「人気商品としてメニューに掲げる店も多いので、風評被害で今後の食肉消費が減るのでは」とのコメントをしていました。福島産の農産物や鶏インフルエンザの報道の影響で鶏肉を敬遠する動きは噂被害の風評被害と言えますが、今回のユッケによる食中毒事件による生食用食肉を避ける動きは実害を避けるための当然な行動です。
 風評被害とは、存在しない原因・結果による噂被害のこと。多くの例では災害事故での不適切又は誤報により、生産物の品質低下やまったく存在しない汚染などを懸念して消費が減退し、まったく原因と関係のないほかの業者・従事者が損害を受けること。災害、事故による直接の被害や顧客の危機回避のための判断や安全確認のための出荷停止は風評被害には該当しません。
 マスコミが風評被害と言うと、この店だけが危険で、他の店のユッケはリスクが無いと思われます。私は日本で流通している食べ物でレバ刺し、ユッケ、鳥刺しが一番リスクの高い食べ物だと考えています。腸管出血性大腸菌O157やO111は牛や羊の腸管内に生息しています。生食用食肉の衛生基準で定められている生食用の表示の牛肉が存在しないのは、生食用として完全に安全が確保されるには、と畜場、食肉加工場、飲食店、喫食する者にいたる衛生管理が必要で、フードチェーンで考える必要があり、そこまで安全が確保するには、ISO22000かHACCPを採用し、権威ある審査機関が審査する必要があるためです。

腸管出血性大腸菌食中毒予防ポイント
・ 腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性があります。
・ 腸管出血性大腸菌は加熱により死滅します。焼肉やバーベキュー等、自分で肉を焼きながら食べる場合も、十分加熱し、生焼けのまま食べないようにしましょう。
・ 特に、若齢者、高齢者、抵抗力が弱い方は、重症化することがありますので、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないようにしてください。
・ 野菜は新鮮なものを購入し、冷蔵庫で保管するなど保存に気をつける

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