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衛生管理運営基準に見るフードチェーンの思想

374 2017年1月15日
 脊柱管狭窄症の手術及びリハビリ訓練から退院しました。1昨年、昨年と続けて2度手術を行いました。3度目は絶対避けなくてはいけません。原因は歩く姿勢にあると下半身を中心にリハビリを行いました。
 毎日、午前、午後1時間20分、リハビリルームで、バランスボード(柔らかい板状)で直立、片足立ち、スクワット、歩行訓練と比較的簡単なメニューですが、片足立ちは左右1分を1セットにして3セットと繰り返し行います。それを1日2回、それを1ヶ月、退院してからも続けています。30年近く悪い姿勢を続けていたわけですからそう簡単には直りませんが、直す方向性が理解できましたので続ければ少しづつでも改善していくと感じています。
 ジムやテレビで腰に良い運動とかを紹介されていますが、ひとりではなかなか続きません。目的を持ってみんなでやれば続くもんです。食品衛生7SやHACCPも会社の目的を定めて全社あげて行う事が大事だと実感しました。
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 衛生管理運営基準に見るフードチェーンの思想
 「食品衛生管理運営基準」とは、飲食店や食品営業者が守るべき食品衛生上の基準として、都道府県、指定都市及び中核市が定めるものです。この基準は、Codex Alimentarius Commissionが示している食品衛生の一般原則の内容等を参考にしています。Codexは、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、FAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格(Codex規格)の作成等を行っています。

 Codexの食品衛生の一般原則のイントロダクションには、次のような記述があります。「国際間の食品取引は増加しており、重要な社会的及び経済的利益をもたらしている。しかし、これはまた世界中に病気を容易に拡散させている。過去20年間に多くの国々で食習慣が大きく変化し、これを反映して新しい食品の生産、調理及び流通技術が発展した。それ故に、効果的な衛生管理は、人が自分の健康を守り、食品媒介疾病及び障害、あるいは食品の悪変を避けるために極めて重要である。農場、生産者、製造加工業者、食品取り扱い者、消費者を含むすべての者は食品が消費に安全で適切であることを保証する責任を有している」。

 さらに、「この文書は第一次製品の生産から最終消費に至るまでの食品のフードチェーンを対象にしており各段階におけるカギとなる衛生管理に焦点を当てている。生産から消費までのフードチェーンの各段階で食品を保証する責任をうたっています。
 
さらに、食品などの取り扱いで原材料及び製品について自主検査をすべしとしています。また定期的に製品検査やふき取り検査を実施し、施設の衛生状態を確認することを説いています。

 食中毒の危害要因は、原材料に由来するもの。人に由来するもの。施設や設備などの環境に由来するものがあります。日本は、施設や設備に由来する危害については、自分のところで可能な限り熱心に取り組みますが、原材料に由来するものや人に由来するものの対策が弱いと思います。
 このところ原材料が原因ではないかと推定される食中毒が発生していますが、なかなか原因追及ができず、患者に提供した者だけが処分されています。そのため、この系統の食中毒を避けるには、原材料の使用者が事前に安全証明を要求するか、入口検査を実施することが必要となってきます。

HACCPについて
HACCPとは,Hazard Analysis and Critical Control Pointsの頭文字からとったので「ハサップ」とか「ハシ(セ)ップ」と呼ばています。HACCPは,日本語では「危害分析重要管理点」又は「危害分析必須管理点」と訳されます。
宇宙飛行士たちの食事は,すべて地球で作ってロケットに積み込まれますが,宇宙探検中に食中毒になったら大変なことです。そのため,1960年代,米国NASA(アメリカ航空宇宙局)のアポロ計画において、宇宙食製造の際の安全性確保のための品質管理プログラムとして,HACCPが誕生しました。

なぜ,HACCPが必要ですか
食品の安全性を確保するには、その製造・加工、流通、消費というすべての段階で、衛生的に取り扱うことが求められています。
より衛生的で安全な食品を消費者に提供するため、施設の衛生状態について問題のあるところを明らかにし、食中毒などが発生しないよう予め対策をたてるという、自主的衛生管理が求められています。
HACCPには危害分析という考えがあります。例えば、食中毒という危害を調べて、菌の性質、食材のリスク、取扱方法等の問題から、どうしてこの食中毒が起こったのか? どうすれば防げるか?を学んでいくというやり方です。この「衛生教育マニュアル」は、その危害分析を行うために役立つ知識を集めており、HACCPの土台である「一般的衛生管理原則」に準拠しています。
コーディクス委員会は「一般的衛生管理原則」の内容をきちんとして、それだけではカバーできない、食品の取扱に直接的な事項をHACCPでカバーするという考えかたが基本順序と言っています。土台が大切です。
HACCPの一般的な認識でよくあるものが、設備に金がかかる、難しい、大きなところでないと出来ないなどがありますが、これらは全部間違いです。
飲食店でも出来ます。また、HACCPは現在の施設設備の状態のまま導入するもので、そこに欠陥があれば改善すればいい。HACCPは物や施設ではなく、衛生管理をするための方法、やり方なのです。

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室温に長時間放置するのは避け、調理後すぐに食べる

367 2016年9月4日
室温に長時間放置するのは避け、調理後すぐに食べる
 食中毒菌は20~50度の温度を好むので、この温度帯が長いほど危険度が増します。室温に長時間放置するのは避け、調理後すぐに食べるか、一気に冷やすようにしよう。
温度と食べる迄の時間を考えること。温かいラーメンや鍋物は細菌性食中毒の危険性は無いし、料理もメインデッシュは温かい物が多く、それなりの注意を払って調理されているから安心ですが、付け合わせ的な野菜、和え物、煮物は事前にたくさん調理して食べるまでの時間が長くなり失敗しやすいのです。また、ラーメン、うどん自体は安心と言えますが、トッピングの具材、おにぎり、漬け物等には十分注意が必要でる。

「食中毒菌をうつし、広げてしまう2次汚染を防ぐ心がけも重要」です。調理する人が手洗いを徹底するのはもちろん、冷蔵庫などでの保管方法にも注意すること。牛肉は病原性大腸菌O157、鶏肉はカンピロバクター菌、魚介類は腸炎ビブリオ菌などが付いている可能性があるため、サラダや調理済の食品に触れたり、ドリップがたれて付着しないように注意しましょう。

肉や魚は焼くか、煮るかして殺薗できても、野菜や果物は生で食べることが多い。肉、魚を切った包丁やまな板でそのまま野菜や果物を切るのは汚染されるリスクがあります。熱湯をかけて殺菌した方が安全です。
食中毒菌を殺す食品の加熱の目安として中心部の温度を75度以上にして1分以上加熱すること。

大量に手間のかかる料理を出す結婚式はリスクが高くなります。暖かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく。料理の温度はその料理を引き立たせます。

放冷と盛り付け

366 2016年8月21日
放冷と盛り付け
食品の品質要求レベルは、加熱調理してから保管、配送して喫食までの時間、保存温度、喫食対象者(病人、高齢者、幼児等)により異なり、衛生管理、調理法もそれに合わせて選ぶ必要があります。

放冷と盛り付け工程は食品の品質を決めるのに重要な工程です。食品中の細菌を増やさないようにするには、10℃以下または65℃以上で管理する。
・冷却機や空調設備を設置する。
・真空冷却器を利用するか、またはより小さな容器に衛生的に小分けして30分以内に
中心温度を20℃付近まで下げる(扇風機で風冷すると空気中の塵埃や空中浮遊菌を吹き付けることになります。)
・放冷時間に留意し中心温度を速やかに下げるよう管理する。
* 鍋の直径が倍になると中心温度が下がる時間は4倍になります。

盛りつけの作業場の温度管理
作業場の温度管理は食品を衛生的に取り扱ううえで大きく影響されます。気温が高くなると注意が散漫になります。
・2次汚染を防ぐため、他の作業の影響を受けない場所で行う
・調理従事者が衛生的な盛りつけ作業をおこなう
・熱い食品は十分に放冷してから盛りつける
・必要に応じて清潔な使い捨て手袋を使用する。

*袋を過信してはいけません。手袋をしたまま他の作業を行ったり、着衣、マスク等に触ったりすることで手袋が細菌を媒介することになります。また、長時間の着用は手袋の中でかいた汗が食品を汚染するなど、思わぬ事故をひき起こしかねません。
手袋を使用する場合はこまめに取り替えましょう。

なぜ注意が必要なのか
食品を加熱するということは、菌を殺すことです。それ以降で細菌が付いて増えてしまうと危険です。
 放冷、盛り付けの清潔工程が大変重要となります。細菌は20~40℃でもっとも増殖しやすくなりますので、細菌が増殖しない温度までできるだけ早く下げる必要があり
 ます。特に夏場気温が高いので、油断しないようにしましょう。

放冷のポイント
【小分けして冷却】
 小さい容器に衛生的に小分けして30分以内に中心温度を20℃付近まで冷却する。小分けして冷却したほうが効果的にできます。
【送風して冷却】
 強制的に扇風機などで風をあてて冷却する。空気がきれいであることが
 大事です。窓や扉が開いていたりすると、外から細菌を呼び込む可能性も
 あります。
【流水での冷却】
  野菜をブランチングしたもの、湯がいたパスタなどは水で冷却できま
 すが、その使用水が清潔であるかどうかを確認する必要があります。

盛り付けのポイント
【作業場の温度管理設備】
  作業場の室温が高くなると注意が散漫になったり、菌が増殖します。清
 潔な環境で、他の作業の影響を受けない場所で、室温を低くすること。
【手作業の注意】
  不適切な手洗いのまま、素手で調理後の食品を扱うことは、食中毒菌を
  付着させる原因となります。必要に応じて清潔な使い捨て手袋等を使用
  すること。

気温に伴って海水温も上昇してきます

364 2016年7月17日
気温に伴って海水温も上昇してきます
 気温に伴って海水温も上昇してきます。魚介類には腸炎ビブリオ菌が付いていると思って管理しましょう。腸炎ビブリオ菌は真水に弱い菌ですから、魚を捌く時、真水で良く洗い、2次汚染を防ぎ、冷蔵して早く食べれば比較的防ぎ易い食中毒です。

腸炎ビブリオ菌による食中毒をみますと、
18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年
事件 71  42  24  14  36  9   9   9  6   3
患者 1.236 1,278 179  280 579 87  124  164  47  224

ここ10年の腸炎ビブリオの見ますと、事件数、患者数とも素晴らしい減少ですが、平成27年は3件、224人です。
これは、社会問題ともなった大規模な食中毒発生で衛生管理に注意が行き届き、施設内での2次汚染対策が改善された事を示しています。魚介類、特に刺し身は食中毒のリスクが高いとの印象があります。そのため、より注意を払うことになります。飲食店でも刺し身はぎりぎりまで冷蔵庫に入れて、よく冷やした状態で提供しています。
2001年、「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格」が改正になり、加工基準、保存基準、表示基準が制定され、「加工に当たっては、飲用に適する水を使用すること、ただし、海水を使用する場合は、殺菌海水または人工海水を使用すること」と決まりました。
この改正で魚介類の水揚げ時、加工、流通での衛生管理が進展したことが効果を上げてきているものと思われます。

 しかし、油断は禁物です。魚介類をさくやブロックで仕入れる所が増えています。菌を除く行為である洗うという行為が仕入れ先の魚屋さんに移り、喫食するまで時間がかかり、その間の運搬、保管中の衛生状況と温度管理をチェックする事が重要となります。
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まな板や食材を次亜塩素酸ソーダを使って消毒する事が多いと思います。計算上で濃度を出して、はたして、きちんとその濃度になっているのか。また、次亜塩素酸ソーダは有機物等と反応して、どんどん減ってきます。濃度が維持できているか測定する必要があります。

なぜ拭き取り検査が必要か

363 2016年7月3日
なぜ拭き取り検査が必要か
 食中毒の主な病原物質は、細菌とウイルスです。どちらも小さくて見えません。見た目の清潔さと微生物的衛生とは違います。ふきんやまな板、手指を細菌検査することにより、清掃や消毒の大切さを理解して貰うためにも効果があります。
 食品の製造、調理工程でどこを管理するか、どこに危害があるか、衛生的になっているかを検証するためにふきとり検査を行います。その結果を現場にフィドバックすることにより、危害防止と品質向上に役立てることができます。
検査対象
 ふきとり検査は、あらゆる食品ならびにそれらを取り扱う器具や機材、従事者の手指などが検査対象となります。ふきとり検査は培地を直接検体にスタンプする方法と滅菌水でぬらした綿棒で検体をふきとり、滅菌水に溶解して検査する方法があります。
 従事者の手指のふきとり検査は、手洗いがきちんとできているかを確認する意味です。正しい方法でしっかり手洗いをしてないと大腸菌群数を検出します。むしろ、乾いた状態の手指より、濡らすことによって指紋から菌が浮き出し検出率が高くなります。
 手洗い後のふき取り検査で大腸菌群数とブドウ球菌を検査し、結果をデジカメで写真に撮って視覚に訴えると効果的です。抜き打ちでないため従事者も納得し、手洗いをしっかりするようになります。
 気を付けなくてはならないのはブドウ球菌です。まれに、黄色ブドウ球菌が皮膚に常在しなかなか取れないことがありますが、この場合は、医療機関を訪ねてきちんと治療しなければなりません。黄色ブドウ球菌は食中毒の原因となるのは、今さら申し上げることもないでしょう。
 ふき取り検査は、危害を見つけるための検査です。手指の検査や器具から大腸菌群やブドウ球菌が見つかったとしたら、「しめた! 喜べ。危害も芽が見つかった。これで危害を防ぐことに一歩近づいた」と考えましょう。そして、ぜひ皆さんでその危害を予防するように励んでください。
都道府県政令市が定める管理運営基準には。「定期的に製品検査やふき取り検査等を実施し、施設の衛生状態を確認すること」とあります。

食品衛生衛生検査指針 微生物編2004にふき取り検査に使用される方法が掲載されていますが、私が使っている サニ太くん(チッソ)で調理場でふき取り検査を行ってみました。
1 現場には専用の滅菌袋に入った滅菌綿棒に10ccの生理食塩水を入れたたものを持っていきます。あるいは ふきふきチェック2(栄研器材(株))を使います。
サニ太くん(チッソ)
 特殊な膜面に培地成分を乾燥状態で含ませてあるため培地の調製が不要です。これらは標準寒天培地の栄養素を基本とした成分が不織布に乾燥状態で均一にコートされたシート状培地である。いずれも従来法と同様に試料液1ml中の生菌数を求めることができる。
3 ふき取った綿棒を袋の外からもみこみ滅菌済の1ccのスポイドで取る。ふき
 ふきチェックには、目盛りが付いています。サニ太くんを取り出しのシート
 をめくり、1cc検液を乗せる。
定温器で培養する。シート状で薄いので小さな定温器で良い。
 培養後コロニーをカウントするが、発色が良いので見やすく、スキャ
 ナーで取り込み画像として簡単に保存できるし、結果がビジュアルに見えるので現場に理解されやすい。

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