スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

食中毒の変遷 赤痢

232 2011年1月16日
食中毒の変遷 赤痢
1955年代までは飲食に起因した赤痢、腸チフスでも食中毒事件として扱われていませんでした。これは極めて少ない菌量で伝染(感染)するので、流行したら、通常の調理行為では対処できないと考えられたのと、伝染病予防法が食品衛生法に対して特別法(優先法)だったため、伝染病予防法で扱われていた法定伝染病のコレラ、赤痢などが、たとえ飲食が起因しても食中毒としては扱われていませんでした。
 現在は伝染病予防法が感染症予防法に変わり、食中毒起因物質も拡大され、飲食に関係すれば、赤痢、コレラであろうともすべて食中毒として扱われるようになりました。
 私は現役の時、赤痢菌による食中毒事件に数件タッチしました。原因は、施設が不衛生であったり、衛生管理が不十分で取り扱い食材への2次汚染によるものと、輸入食材の汚染が原因というケースがありました。特に生食用食材の場合は広範囲に発生します。

2000年7月、お昼に路上で車やパラソルの下で販売するいわゆる路上販売の弁当を喫食した22名が、下痢、腹痛を主症状とする食中毒症状を呈し、共通食としてH製造者の弁当があり、有症者のうち2名から赤痢菌が検出されていました。また、H製造者の弁当の他の配達先からも同様な苦情があり、H製造者を原因施設とする食中毒とされました。
弁当調製業者施設に立ち入り調査を行ったところ、施設内はどぶ臭がして排水溝の清掃が不十分で室内も雑然としており、ネズミや昆虫の生息も推定され、大量の弁当を調製する施設としては不適当と思われました。
弁当の路上販売は、簡単に始められることから、零細で飲食業を未経験で始める人が多く、価格で勝負するため調製施設の環境が悪い所が存在します。今のデフレの時代には仕事が無くて参入する人が多く、価格競争が激しくなり、見えない調理施設に手を抜きがちで、赤痢でなくても同じ様な事件が起こる可能性が高くなっています。

 日本で赤痢菌による食中毒は珍しいのですが、私が現役の食品衛生監視員の時、赤痢食中毒の疑いのある事件を経験しました。1999年11月から2000年1月にかけて福岡県で海外渡航歴のない子供の赤痢感染が4例発生したのです。
3事例からShigella flexneri2a が検出され、赤痢菌株の詳細な解析でによりそれぞれの菌種で同一のパターンを認めました。南方系で日本での発症例は少ない菌でした。
 喫食調査をしてみると、共通食として輸入生食用冷凍タイラギの貝柱があり、この食材が疑われることとなりました。参考品として行政収去した冷凍タイラギの貝柱224検体(このうち福岡県実施100検体)について検査を行ったところ(同時期に当該品が保管されていた東京都、広島県などにおいても検査実施)、その結果はすべて陰性で、食中毒とは確定しませんでした。
 その事件の記録を今、もう一度見返してみると、当時、輸入業者から見せてもらった生産工程図に消毒槽とありましたので、「薬剤は何を使用していますか」と質問したことを覚えています。業者は、「次亜塩素酸ソーダで消毒しているから安全です」と答えていましたが、私は消毒槽に問題があったのではないかと思っていました。

 2008年7月19日、福岡市博多区の有名日本料理店Nで赤痢菌による集団食中毒が発生したと、新聞が報じました。Nは以前私が福岡市食品衛生協会に勤めていた時、依頼を受けて定期的にふき取り検査で訪問していましたので衛生管理がしっかりなされてていることを知っていました。それなのになぜ赤痢が発生したのかと思い、担当保健所の係長に聞いてみました。すると「まだ食材から赤痢菌が検出されていないので確定的なことは言えないが、汚染された生食用の魚介類を仕入れたのではないか」とのことでした。その後、福岡市で2件の赤痢菌による集団食中毒の発生が続き、「散発型の集中発生」(diffuse outbreak)として特定の食材への疑いが強まったのです。
 厚生労働省は8月28日、この福岡の赤痢菌食中毒について、3件にベトナムのE社が輸出した冷凍イカが共通食材だったことから、同社に対し、輸入食品の検査命令を出しました。つまり、同社の冷凍イカが赤痢菌食中毒の原因食ということで決着したのです。
 さて、今回の生食用冷凍イカによる赤痢食中毒事件について、イカが汚染され原因を私なりに推測してみました。今回の赤痢食中毒事件では、E社から輸入した量はかなりあったはずです。その割に赤痢の発症数が少なく、福岡に集中していました。私は輸入したイカがすべて汚染されていたわけでなく、一部の生食用冷凍イカに赤痢菌が汚染されていたのではないかと思います。
東南アジアではトイレで左手でおしりを洗うため、水桶が置いているあり、床が水で濡れた状態の所が所が多くあります。当然、感染者がいれば床は赤痢菌やサルモネラ菌に汚染されていて、作業員の長靴を汚染します。長靴を介して工場の床を汚染し食材が汚染することも考えられます。もちろん手指からの2次汚染もあるでしょう。
 工程中の問題としては食材の洗浄・殺菌工程のミスが考えられます。生食用イカの消毒に次亜塩素酸ソーダを使っていたとすると、食材の洗浄不足や多くの食材を消毒したため、次亜塩素酸ソーダの効力が低下していて、一部赤痢菌が生残したのではないでしょうか。
「次亜塩素酸ソーダで消毒しているから安全です」ではなく、次亜塩素酸ソーダの交換など管理が重要なのです。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

consalmasa

Author:consalmasa
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。