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食中毒の変遷  フグ中毒

226 2010年10月17日
食中毒の変遷  フグ中毒
福岡の町は、10月末近くになると、大相撲九州場所に向けて、関取衆が来福します。町には髪付け油の香りが漂よい始めると、ちゃんこ鍋が恋しくなりフグの値段が上がると言われてきました。「河豚は食いたし、命は惜しし」とよく言われます。毎年フグを食べて、中毒をおこして死亡する人が後を絶ちません。私は、現役のとき、数回フグ中毒事件を処理しました。幸い亡くなった人はいませんでした。

 最初にフグ中毒にタッチしたのは、「毒サバフグ」事件です。1980年頃、市立病院からフグ中毒の患者さんが来ているので調べて欲しいとの電話からでした。病院に行くとその患者さんは腎臓透析の患者さんで、「昨晩フグを食べて、口が痺れた」と医者に話したので連絡したとのことでした。患者さんにお会いしても幸い症状は治まって大事に至っていませんでした。聞き取り調査を行いました。自宅でフグを食べたと言う事で、フグの仕入先等を聞いて、管轄の保健所に伝えました。管轄の保健所は魚屋さんを調査し、連絡が早かったので、残滓があり、当該フグの背骨や頭を収去し、福岡市食品衛生試験所にフグの同定を依頼したところ、毒の無い「カナトフグ」に良く似た南方産の「毒サバフグ」と判明しました。当時はあまり「毒サバフグ」の存在は知られていませんでした。調査結果をマスコミに発表すると同時に広報車を出して、「毒サバフグ」を食べないようにと市民に注意を呼びかけました。福岡県内で数10人の患者がでる大きな事件でした。その事件の発端にタッチしたことになります。

フグ中毒予防ポスターに「フグ中毒、素人料理は危険です」とよく書かれています。この標語は誤解を与えるのでは無いかと思います。素人料理はもちろん危ないのですが、料理の素人はフグは捌きません。料理人の方がフグ中毒事件を起こしています。昭和50年歌舞伎役者・坂東三津五郎(68歳)さんがフグを食べ京都の病院で急死した事件は、フグ料理の免許を持っていた料理人の出したフグの肝が原因でした。私は、食品衛生監視員時代にフグ中毒事件を4回扱いましが、内3回は料理人や魚屋さんでした。フグ処理師の資格を持ってない生半可な料理人の方が危ないのです。

 ある小料理屋でコモンフグを20匹活物を漁師から仕入れて店の水槽に入れていました。なお、コモンフグの皮や胆は食べる事を禁止されています。事件以前に16匹は客に提供したり自分たちで調理して皮も湯引きして食べていました。そのフグの皮がたまたま弱毒だったため、皮も食べられるものと思い込んでいました。板前さん特有の経験主義で、自分も食べているから、毒味をしたから大丈夫と思ってしまったのが原因です。フグ処理師の免許は持っていませんでした。やっかいなことに同じ種類のフグでも個体差があり、毒力が異なります。
 この事件で患者さんは助かりました。助かった要因は、食べ始めて30分後に腹痛がして気分が悪くなり、連れの女性が送ってくれたことです。5分後に麻痺が始まり、立てなくなり直ちに救急車を呼んでフグ中毒の可能性を告げて病院に行きました。フグ中毒は、呼吸麻痺を起こしますので、呼吸麻痺に対応できる器械を持った病院に行くことが助かるための絶対条件です。
 フグ中毒はフグの肝臓や卵巣に含まれているテトロドトキシンという毒素によって起こります。テトロドトキシンはそれを産生する“海洋細菌”を取り込むことによって、その細菌と共生して、フグの体内に蓄えられているとされています。フグは生息域により毒量が異なりますし、個体差も生まれます。種類によっては、皮にも毒があります。厚生省は「処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位」を通達で決めています。全ての種類のフグの肝は食べるのを禁止されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/s58_1202-2.html


 テトロドトキシンは神経毒で、運動神経・知覚神経の抹消を麻痺させるとともに、延髄の中枢にも作用します。その毒は強力で、青酸カリの数100倍に相当するのだそうです。中毒の症状としては、まず違和感があり、くちびる・舌・手足の知覚麻痺、さらに激しくなると全身の筋肉が麻痺して言語も不明瞭となり、終に呼吸麻痺により死亡するにいたります。
◆食中毒を防ぐための注意点◆
 ・フグは「フグ処理師」の免許を持った人しか調理できない。
  なお、東京都では条例によって「フグ調理師」だけにその取り扱い
  を認めるとともに、取り扱う施設に認証書を交付している。
 ・フグは種類によって“食べられる部位”が決まっている。
 ・季節によって毒力に著しい変化がある。
 ・フグには個体差がある。
 ・フグの残滓の保管に注意すること。
 
◆フグ中毒に罹った時の注意点◆
 1 フグ食べてしびれがきたら119番
   フグ中毒の場合は、しびれがきて、口や手足が麻痺を起こすまで
  そう長い時間はかかりません。その後呼吸麻痺を起こしますので、
 「救急車を呼ぶときに”フグにあたった”と言って直ちに病院に・・・」。
 2 フグ中毒に罹っても意識はあり、人の声は聞こえるそうですから、
  見舞いに行って悪口を言わないように。

◆フグ毒(テトロドトキシン)◆
ア 無色,無味,無臭  イ 熱に強い 
ウ 加工等により変化しない エ 消化酵素で分解されない
オ 免疫性が全くない 

 症  状
  ア 食後30分から6時間で発症 イ 口唇や手の感覚鈍麻
  ウ 運動神経マヒ       エ 嚥下困難、呼吸麻痺

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