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食中毒の変遷  ノロウイルス

227 2010年11月7日
食中毒の変遷  ノロウイルス
 このウイルスが食中毒の原因物質とされてから、食品衛生監視員の季節的業務量が変化しました。ノロウイルスが知られて無い頃は、食中毒は食中毒菌が主で、5月から9月までが発生時期で比較的冬場は事件の無い平穏な期間でしたが、私が退職する数年前から、むしろ冬場の方が食中毒が頻発しています。

 このウイルスは1996年以前は検査法もなく、ほとんど知られてなく、食中毒の病因物質となってないため、厚生省の食中毒統計でも報告がありません。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html#4-2
年次別ノロウイルス発生状況
年  1997 '98 '99 2000 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09
件数  0 123 116 245 269 268 276 277 274 499 344 303 288

 この頃、主に冬場、生カキを食べて食中毒症状が出たという届出が私の管轄でも年間数件発生しており、病因物質も分からず風邪の症状に似ているということで食中毒して扱っていませんでした。今から考えるとノロウイルスだったと考えます。

 1997年5月に改正された食品衛生法関係法令において、食中毒病因物質に「小型球形ウイルス」SRSVが追加されました。SRSVは Small Round Structured Virus の略で、電子顕微鏡で観察したときの形態的な特徴が、小型(Small)で球形(Round)の構造をした(Structured)ウイルス(Virus)であることから小型球形ウイルスと呼ばれています。
 大きさは直径約30ナノメートル(3×10-8メートル)の球形で、エンベロープ(皮膜)を持たず、タンパク質に包まれた粒子内に一本鎖のRNAの遺伝子があります。
 この時代のSRSVの検査法は電子顕微鏡でウイルスを探す方法で時間も多くの試料を必要としていました。電子顕微鏡を持っている衛生試験は多くなく、大都市の大きな事件が主でした。そして、原因食としてカキが疑われていました。
 症状として、潜伏時間は24~48時間で、下痢、吐き気、腹痛、発熱(38℃以下)が主症状です。通常3日以内で回復します。感染しても全員が発症するわけではなく、発症しても風邪様の症状ですむ人もいます。抵抗力が落ちている人や乳幼児では数百個程度のウイルスを摂取することで発症します。

 さらに、2003年8月の法改正において、病因物質名が「小型球形ウイルス」から「ノロウイルス」に変更されています。遺伝子学的な分類によりノロウイルスNorovirusと呼ばれています(以前はノーウォーク様ウイルス "Norwalk-like viruses" と呼称)。 ノロウイルスは、培養細胞で再現性良く増殖させることができません。ウイルスの遺伝子配列が解析されたことにより、リアルタイムRT-PCRシステムが開発され、ノロウイルスゲノムを超高感度に定量測定することが可能となりました。
 この方法は超高感度で、2、3週間前に感染した便からも検出できるため、ノロウイルスによる症状である事がわかるようになったことが、2006年以降のノロウイルス食中毒事件の増加の1因となっている。

 2004年末に広島県の老人福祉施設で7人の死者が出た集団感染が発生後、人ー人感染が疑われた事例が急増した。これ以降、人から人の感染症としてのノロウイルスも激増し社会的に注目されるようになりました。2006年には、東京都内のホテルでおう吐物残渣の拡散浮遊による大規模集団感染が起こり、おう吐物対策の重要性がクローズアップされるようになりました。

 ある幼稚園の行事の打ち上げで父兄と子供がレストランで会食し、その後嘔吐下痢症状を訴える人が複数出たことで食中毒ではないか訴えがありました。調査したところ、レストランで食べた食事が必ずしも皆同じではありませんでした。それも加熱調理品が多く、未加熱の食品は野菜(サラダバー)くらいです。生野菜は良く消毒されていましたし、他のお客からの届はなく、従業員の検便ではノロウイルスは検出されませんでした。
 もし、発生源がレストランの食事なら食べてから潜伏時間の24時間後にいっせいに発症します。しかし、患者グループの発症時間はばらばらです。つまり、感染源は別にあると判断しました。その幼稚園では嘔吐下痢症が流行していました。子供が幼稚園で感染し家庭で父兄に感染したものでしょう。この件はこのレストランの食事による食中毒ではないと判断しました。
 このようにノロウイルスは人から人の感染症か、カキや2枚貝、従事者からの2次汚染食品による食中毒なのかを見分ける必要があります。

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