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白菜の浅漬けによるO157食中毒につい

271 2012年9月2日
 白菜の浅漬けによるO157食中毒につい
 北海道で腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生しました。130人以上が発症し7人が死亡した大規模な食中毒事件となりました。原因食は、白菜の浅漬けでした。当初、「野菜の消毒液の濃度をチェックしていなかった」と言われていましたので、感染ルートは、原材料の白菜と思ったのですが、札幌市保健所の調査で発生源となったと同じ白菜からO157感染者は当該製造者意外に見られず、これ以上の産地調査は不要と判断し、これまでの感染経路の調査で、食中毒の原因が製造者の製造、管理工程にあると断定しました。
 この事件の影響で白菜が売れなくなるという風評被害が発生しました。大規模の食中毒の場合、生産者を含む広範囲の遡り調査は、風評被害を拡大するという難しい問題があります。
 ここで思い出すのは、レバ刺しの規制強化で7月からレバ刺しが食べられなくなるとばかりに、6月末に駆け込みで多くの人がO157に汚染されている危険性のあるレバ刺しを食べました。その結果、レバ刺しを食べたことて全国的にO157食中毒が数件発生し、レバ刺しを食べて亡くなった人もいました。また、間接的な影響として発症しなくても食べて人のお腹の中で多量に菌が増殖し、さらに2次汚染が発生し、汚染が拡大することで健康保菌者が増えて、その人からの2次汚染のリスクが高まっている恐れがあります。福岡市でも弁当屋で、7月にO157食中毒が発生しました。調理従事者からもO157が見つかっています。健康保菌者のため、当該弁当を食べて感染した結果なのか、その健康保菌者が原因なのかはわかっていません。
 白菜の浅漬けによるO157食中毒の原因が製造者の製造、管理工程だとすると、従事者の手指や調理器具からの2次汚染が考えられます。白菜の消毒が形だけの「つもり消毒」になっていたのかもしれません。
 以前、「野菜・果物の消毒は既に効力がない「つもり消毒」に注意」という記事を書きました。
http://www32.ocn.ne.jp/~abcq/mag1-109.html
 大量調理施設衛生管理マニュアルでは、野菜や果物を加熱せずに提供する場合の殺菌の仕方は、「野菜・果物を流水で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムの200mg/lの溶液に5分間、100mg/lの溶液の場合は10分間又はこれと同等の効果を有する食品添加物として使用できる有機酸等で殺菌を行った後、十分な流水ですすぎ洗いを行うこと」と規定しています。
 次亜塩素酸ナトリウムの殺菌のメカニズムは、「発生期の酸素」によるものではなく、「次亜塩素酸(HClO)」自身が細菌の細胞壁や細胞膜、細胞組織の化学的性質を変化させたり、分解させ、細菌の活動に欠くことのできない「酵素」を破壊することによるものです。
 次亜塩素酸ナトリウム溶液は、pHに応じて平衡作用により状態が変わり、pH約5では次亜塩素酸(HClO)がほぼ100%占めており、pHが高くなるに従って、HClO量が減少して次亜塩素酸イオン(CIO)が増加します。pHを5付近では殺菌速度が高くなり、かつ殺菌力も強くなりますので、この状態で塩素殺菌をします。原液の次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性ですので、希釈濃度を高くするとpHが高くなり、逆に殺菌力は落ちてきてしまいます。次亜塩素酸ナトリウムは強力な酸化剤であり、有機物である汚れと反応すると効力が落ちますので、消毒できる量に限度があります。
 消毒液の次亜塩素酸ナトリウムは魔法の薬ではありません。バッチ式でため水で消毒する場合、大量調理施設衛生管理マニュアルの次亜塩素酸ナトリウムの濃度と時間の規定は、野菜の量が規定されていませんので意味がありません。大量に生野菜を水槽に入れると次亜塩素酸(HClO)は消費されて効力がなくなります。大量に生野菜を消毒する施設では、水道の水量に応じて消毒液が添加できる方法で、水道水を出し続け、消毒液の効力をチェックしてください。
 野菜によるO157食中毒は、国内ではカイワレ大根やキャベツによる例が報告されていますし、海外ではレタス、ホウレンソウなどが感染源になったことがあります。
 O157は牛の腸に生息し、糞便とともに排出されます。そしてこれらを含む農業用水や肥料などを介して、野菜などを汚染する可能性があります。野菜産地の近くに家畜がいることは珍しいことではありませんし、牛の糞から作る堆肥を肥料として使う農家も多いのです。水やりに使う水が汚染されている可能性も排除できません。
 野菜を調味液に短期間漬ける浅漬けは、一夜漬けや即席漬けとも呼ばれる。こうした浅漬けが原因のO157食中毒は過去に何度も起きています。2000年には埼玉県の老人保健施設でカブの浅漬けで3人が死亡しました。02年には福岡市の保育園でキュウリの浅漬けが原因で、園児や家族ら計112人から感染が確認されました。
この事件は、私が福岡市役所を退職し福岡市食品衛生協会の検査室長の時で、マスコミからコメント求められたこともありました。汚染原因は材料のキュウリか漬物工場の2次汚染か不明のままでした。
 「浅漬けは漬物の中でも細菌の影響を最も受けやすい」。O157をはじめほとんどの細菌は、食塩濃度が10%以上になると増殖が難しくなります。酸に弱い細菌は、発酵させたり酢を使ったりすることで死滅できます。浅漬けは生野菜を使い、加熱処理がない。十分な発酵過程もない。市販品の場合、食塩濃度は1.5~3%。製造過程で細菌を殺すことができません
 もともと野菜は土壌由来の微生物が付きやすいので、雑菌の数が多い。野菜を浅漬けにしたり生で食べたりするなら水道水の流水で隅々まで洗い、浅漬けなら冷暗所で漬ける。魚や肉などを切った包丁やまな板をそのまま使わないことも重要です。
 今回のO157食中毒事件の死者は3歳の子供と老人施設の高齢者でした。腸管出血性大腸菌O157の場合、個人の健康管理も重要なので次号に書きます。



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