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野菜による食中毒

365 2016年8月7日
野菜による食中毒
 食中毒というと、まず頭に浮かぶのが肉や魚などですが、実際には野菜を原因食材とする事件もかなり起こっています。生野菜をサラダとして食べる習慣があるため、その食中毒リスクは無視できません。生食野菜は加熱殺菌を行っていない以上、ゼロリスクを要求するのは不可能と考えるべきです。
 米国でも「健康に配慮して」生野菜の摂取量が増えたためか、野菜類に起因する感染症が増加しています。葉もの野菜の中ではレタスが比較的、微生物汚染が激しいことが知られています。
 野菜の中でも「もやし」や「かいわれ」のような水耕野菜は、路地野菜と比較して大腸菌群数や一般生菌数が高く、また汚染指標菌である大腸菌の検出率も高い。また。コンビニやスーパーで、消費を伸ばしているカット野菜や野菜サラダも、製造過程の微生物制御の難しさを示す報告があります。以前、私がいた検査センターでの食品の細菌検査結果でも、かいわれ、カット野菜、キュウリは細菌の検出率も高く、消毒も難しいようです。
生食用野菜及び果実は赤痢菌・サルモネラ・病原大腸菌等、種々の病原菌やウイルスを媒介することが知られています。これらは農場の水源、あるいは施肥された未完熟堆肥に混入した、家畜由来の病原菌などが、農産物に移行したものと考えられている。このために「収穫前」の衛生的な生産管理が、収穫後と同様に重要です。
 野菜を原因食材とする食中毒事件のかなりの部分は、保管・運搬・調理の過程で、肉や魚から菌が野菜に移った2次汚染によるものと考えられています。このようなケースを防ぐには、運搬・保存の際に肉や魚の汁が漏れないように注意すること、また調理の際にはまな板や包丁などを使い分けるか、あるいは調理器具をきちんと洗った後に野菜の調理に移ることが必要です。
 ここ最近、野菜の「漬け物」で食中毒が起こるケースが相次いでいます。伝統的な漬け物については、比較的高い塩濃度と、乳酸発酵によって生じた酸や抗菌物質によって、長い漬け込み期間中に、混入した食中毒菌の死滅が起きると考えられてきました。しかしこのような事件は、どれも「浅漬け」で起こっています。いずれの事件も、製品まで原因が遡ることは可能でも、そこから上流の原料を特定し、汚染原因を解明することには成功していません。よってこれらの事件の原因となった微生物が、製造・調理の現場で混入したものか、それ以前の原料に付着していたものか、明らかにすることは極めて難しいようです。
 また、加熱しているから大丈夫とも言えません。野菜のゆで汁に細菌を植える研究によると、野菜のゆで汁は細菌の増殖がすごく早いということがわかりました。つまり、一端加熱した野菜は生野菜に比べて細菌が増殖しやすい状態になるということです。ほうれん草のおひたしが味や臭いがおかしいという苦情はよくあります。

1)なぜ生野菜に注意が必要なのか
  腸管出血性大腸菌O157は牛の腸管にいます。そのため、生食の牛レバ刺し、牛のたたきが原因となることが多いのですが、最近、野菜が原因となるケースが増えてきています。
 O157の感染事例で原因食品と推定されたものは、井戸水、牛レバ刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ等の牛肉及び牛肉加工食品、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、白菜漬け、キュウリ等の野菜があります。

(2)野菜類による食中毒
 2002年、栃木県の病院、老人保健施設で発生した腸管出血性大腸菌O157による食中毒は昼食の「香味あえ」が原因食で、材料はホウレンソウ、蒸しささみ、刻みネギ、ショウガ汁などした。
 また、福岡市の保育園で発生した病原性大腸菌O15食中毒は給食の「キュウリの浅漬け」が原因食品でした。
 サルモネラ、キャンピロバクターの食中毒では、2次汚染で生野菜、野菜の加工品が原因食品と推定されるケースが多く見られます。

(3)食中毒予防のポイント
 ・表示、特に取り扱いの注意書きは良く確認して、新鮮な物を購入する。
 ・購入した野菜は、汚染を受けないように清潔なビニール袋などに入れて運ぶ。
 ・汚れや水濡れを起こし易い場所には野菜を置かない。
 ・野菜と肉や魚などが接触したり、肉汁等がかからないようにする。
 ・包装されている野菜やカット野菜もよく洗う。
 ・ブロッコリーやカリフラワーなどの形が複雑なものは、熱湯でゆがく。
 ・レタスなどの葉菜類は、一枚ずつはがして流水で十分に洗う。
 ・きゅうりやトマト、りんごなどの果実もよく洗い、皮をむいて食べる。
 ・とくに、病院、保育園、老人施設では、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤で消毒したり、キュウリなどは、熱湯によるブランティング(30秒~1分熱湯につけ直ちに冷水で冷却)を行うと効果的です。
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