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分析検査は過去の記録、将来予測は疫学から

95 2005年5月1日
分析検査は過去の記録、将来予測は疫学から
 公衆衛生の分野では、統計を使った疫学があります。疫学は、1854年まだ病原菌の正体が分かっていない時代に、ロンドンでコレラ死亡者の発病月日を地図にプロットするとある地域に集中していることが見つかり、この地域とほかの地域の水や食べ物を統計処理してコレラの感染源が1つの水源であることを見つけた事例が有名です。

 「疫とは人民に大規模な災いをなすもの」という意味があり、この災いを解明する学問が疫学です。疫学を使う目的は、あるデータの集合体の統計処理でその疫を予防することです。つまり、将来を見る学問です。

 日本では疫学があまり評価されず、分析的検査データを重く見る傾向があります。分析検査データは過去の検査結果です。これでは、予防は限定されます。検査データを統計的に解析して有効になります。このデータだけでこれから先を予想し、対策を立てることは難しいのです。

 学校給食や食品工場では定期的に検便を行っていますが、この検査結果は採便した2週間前の状況を示しています。採便した時点での陽性者を排除するだけです。予防は極限的です。手洗いを教育し確実に実行すれば、陽性者からの感染も防止できます。

 今、米国産の牛肉の輸入禁止が長引いています。当初から内閣府の食品安全委員会はBSE(牛海綿状脳症)は感染源である肉骨粉の管理とプリオンが存在する可能性が高い牛の脳や脊椎等の危険部位を外せば、牛肉から変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)に感染するリスク極めて低いと言っており、昨年9月のとりまとめでは、日本でvCJDに罹患する人は日本の人口当たり、0.1人から0.9人だとしました。

 このリスクは、英国やヨーロッパのBSE多発国の統計データからできています。そして、vCJDの感染原因はBSE牛のプリオンであるとしたのも、人体実験が出来ませんので疫学によります。欧米は若い牛からの感染リスクは少ないとして、BSE検査は30カ月齢の牛を対象に行っています。これが国際基準です。精密機械での検査結果だけでなく人間くさい疫学をもう少し信用することが大切です。言葉のイメージで全頭検査=安心と決めるのでなく、疫学を含めた検討と説明が必要でしょう。

 米国のライス務長官が国務長官として初めて、3月18日に来日しました。ライス長官は、「世界基準に基づいた解決をお願いしたい」と、米牛肉の輸入再開を要請。これに対し町村信孝外相は、「米側の強い関心は理解している。日米関係を害しないよう適切に対応する」と述べるにとどまり、再開時期は明示しなかったと、メディアは報じました。

 ライス長官は「世界基準」を強調しています。私も昨年、『HACCPの観点で米国の「日本は科学的でない」』と書きましたが、国際基準に合わせるべきです。私は福岡市で水質検査する部署にいたことがありますが、精密機械はそんなに信用していませんでした。それより、統計手法による人間くさい疫学の方をはるかに信用したものです。その考え方でいえば、牛の病気であるBSE感染を防ぐことより、vCJDの感染を防止するという目的を明確にすることが大切だと思います。

 食の安全の面からみると、食肉、鶏卵、魚介類、野菜でもリスクはあります。食中毒だけでなく、健康食品でも亡くなっている人はいます。人の安全を脅かすことは、戦争、自然災害、伝染病、交通事故、食中毒とたくさんあります。人の健康、生命を守ることはバランスを持って対策することではないでしょうか。

 BSE問題で100%の安全を求めることが、かえって国の安全、国民の安全を脅かしているとしたら大変です。今ここで必要なのは、科学的に国際基準でBSEを考えることなのではないのでしょうか。
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