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予想屋の仕事に学ぶ食中毒予防

92 2005年3月6日
予想屋の仕事に学ぶ食中毒予防
 刑事ドラマでは1つひとつ事実を積み上げて犯人を追いつめています。できるだけ推測を除いています。過去の事実を丹念に調べての犯人探しです。ところが、事件の発生を防ぐためには、刑事の仕事だけでは足りません。起こりそうなことを予想して、早めに手を打つという“予想屋”の仕事が求められてきます。まさに食中毒予防には、この予想屋の仕事が効果を発揮する


 食中毒の予想屋は、食中毒の起こりそうな時期、行事、食材、現在発生している食中毒事例から、注意すべき点を早めに見つけ、情報発信する仕事です。食中毒の予想屋を自認する私としては、これからもアンテナを張り巡らして予想の腕を上げていきたいと思っています。

 日本では、原因を追求してそのその原因を取り除いて解決していく手法が主流です。大きな事件の時、マスコミは原因を探し回ります。雪印の食中毒事件の時もそうでした。原因が分からないと解決できないと思い込んでいます。

 ただ、原因追及より優先することもあります。進行中の事態を止めることです。患者が発生していたらまず治療ですし、被害拡大を止めるために、製品の出荷を止めて回収する、営業を自主的に止めることが重要です。原因を追求し、悪い部分を見つけてそこを取り替える、これは機械論の世界では当たり前のことです。

 しかし、この方法では起こったことの原因が分からず、これより先に進むことができません。事故が起こってから対策を考えるという後追い手法になってしまいます。この何かが起きてから反応する方法を、リアクティブ法といいます。

 例年、冬場にかけてノロウイルスによる胃腸障害は多発しています。2003年の食中毒患者数はトップですし、感染症もたくさん発生しました。昨年 12月にも各地でノロウイルスによる胃腸障害が発生しました。新聞記事は小さい扱いだったので目立ちませんでしたが、注意を払っておけば、ノロウイルスが流行していたことは分かったはずです。こういう状況であれば、ノロウイルスによる食中毒が発生しそうなことは予測できます。予測して、準備ができていれば、嘔吐、下痢症などの症状を訴える患者さんが出たら、その対応はスムースにいくでしょう。

 このように、食の安全を確保するという目的に向けて行動する時、起こりそうな危害を予測して、先に手を打っておくことが重要です。もちろん、予想は外れることもあります。しかし、万に1つに備えることが大切なのです。この考え方がHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)です。HACCPは、危害分析重要管理点などと訳されます。

 HACCPの誕生の経緯は、既にご承知の方も多いかと思いますが、60年代、米国NASA(アメリカ航空宇宙局)のアポロ計画において、宇宙食製造の際の安全性確保のための品質管理プログラムとして、開発されました。宇宙飛行士たちの食事はすべて地球で作ってロケットに積み込まれますが、宇宙飛行中に食中毒が発生したら大変なことになります。宇宙飛行中の食中毒を防ぐためのシステムだったのです。

 何かが起きてから反応するリアクティブ法から、事前に情報、知識、経験から原材料から最終製品に至るまでの危害の発生要因を調べてその要因を取り除き、あらかじめその危害を防ぐ方法で、管理すべき点を決めて、記録し、管理点から逸脱したときの処置も決めておくというその製品の衛生管理を行うためのシステムです。

 ノロウイルスは、人のお腹だけで増えますので、その感染ルートの、できるだけスタート地点に近いところで止めることが効果的です。すると、トイレ後の手洗いとなります。次に人から感染するということは、従事者全員が守らなければなりません。さらに、従事者の生活の場である家庭での注意も必要で子供が保育園、幼稚園で感染し親に感染したとか、時間外に生カキを食べてノロウイルスに感染して持ち込んだとかしないようにすることも必要です。

 先日長野県のミールケアという施設の給食をしている会社主催の「ノロウイルス徹底攻略セミナー」でお話をさせていただきました。そのミールケアでは、家庭向けに「ノロウイルスてなーに」というパンフレットを作って配布しており、ノロウイルス防止の観点からは模範的な取り組みをしていると感じました。

 日本では検便をよく行っていますが、はたしてこれで危害をどれ位取り除くことができるのでしょうか。ノロウイルスはコストがかかり予防のための検便は行えません。調理従事者がノロウイルスやサルモネラ、O157菌に感染して保菌していることもあると予測して、トイレの後に手洗いをしっかりさせ、人の便から手指を汚染し調理場に持ち込まれる危害を避けた方が効果的です。手洗いがしっかりできたかどうかの検証は、手指の拭き取り検査の大腸菌群でチェックする方法が効果的です。


 03年にSARSが流行した時、CDC(米国疾病対策センター)は盛んに頻繁なる手洗いを呼びかけていました。インフルエンザにも手洗いが予防効果があると言われています。サルモネラ、赤痢も保菌者から手指を介して感染が広がることがあります。食中毒に限らず、感染症に広く“予想屋”の仕事が役に立つものだとお分かりいただけたでしょうか。
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