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人気が出れば出るほどリスク高まる「お取り寄せ」

89 2005年1月23日
人気が出れば出るほどリスク高まる「お取り寄せ」
 地元福岡では、地元名産の辛子明太子が通信販売でよく売れています。昨年暮れは米国からの牛肉輸入禁止の反動で、フグ刺しの通販が大ヒットしたそうで、先頃有名料理店から事業の相談を受けました。今や「お取り寄せ」は大ブームです。とはいえ、Ready to eat products(加熱などせず、購入してそのまま食べる食品)は衛生管理の点で非常に難しい商品です。そこで今回は「通販の食のリスク」について取り上げます。

 Ready to eat productsによる食中毒は、結構大規模な事件に発展しています。1996年に、堺市の小学校の病原性大腸菌0-157事件、98年には北海道産イクラによる0-157食中毒事件、さらに01年には牛たたき、ローストビーフなどの0-157食中毒事件と、いずれも事件が大型化しました。

 辛子明太子は75年、新幹線東京・博多開通とともに全国に販売されるようになりました。それ以前は、保健所の収去検査(行政抜き取り検査)で生菌数が10万以上と品質に問題のある製品も見受けられましたし、販売方法も見本は空箱を使って製品は冷蔵してすると現在の方式と違って、当時は常温でライトが当たる所に積み上げて売っていました。

 製造方法も木樽を使い、漬物をつけている感覚です。販売ルートが限られて、販売数量も少ない頃は、それでよかったのでしょう。しかし、84年に発生した辛子レンコンのボツリヌス食中毒事件を契機として、ふくや、かねふくといったトップ企業が中心となて業界全体で衛生管理の向上に取り組み始めたと聞いています。88年に私が異動で保健所に戻ってきた頃には、大変品質は向上していました。

 辛子明太子は加熱工程がなく、手作業が多いという非常に管理の難しい食品です。原料の選別、従事者教育、つけ込み用バットなどの器具、空気や温度といった環境整備を含む工程管理が重要とされます。試験室で工程中の細菌検査を行ってフィードバックをしたり、QC活動を繰り広げて品質を改善したそうです。それなりの努力と時間がかかっています。

 先月、熊本県の馬刺し製造の千興ファームを見学いたしました。ここは「SQF2000」というHACCPシステムを取得して、衛生管理に大変努力している企業です。私が最も感心したのは、馬専用のと場を設けているということでした。生食肉の大きな危害は腸管出血性大腸菌O-157です。この菌は牛の腸にいることから、牛と馬のと場を分けるということは、大変効果の見込めることなのです。

 一般に、生食用食肉の衛生基準は厳しく、まな板や従事者の手指の管理についても厳しい基準があり、これらの基準を合格したところが生食用食肉の表示ができます。しかしなかなかこの基準をクリアできず、その結果、生食用の表示のある牛肉の刺し身や牛のレバ刺しは少ないのです。そのため、加熱用を生で食べて食中毒を起こしています。

 その点、千興ファームの馬刺しについては生食用の表示がされています。この工場ではコンベア上のまな板に肉塊が乗って動き、使用済みのまな板が回収、消毒される方式をとっていました。馬種はブルトン、ペルシュロン、ベルジャンという食用馬で、北海道の牧場でゆったりと育てています。HACCPを取り入れ、原材料からの衛生管理は徹底しているため、生食用として安心して食べることができます。

 インターネットやテレビなどの通信販売では、注文する方は商品の写真や名前で注文し、衛生管理の状態などが分かりません。人気が出ると急激に注文が殺到します。地域の商品は地域消費者の評価により安全性を保たれている面がありますが、通販の食品は製造しているところが見えず、マスコミや通販主催者の営業上の判断による情報で大量に流通することになるからです。

 安心というムード的なものでなく、HACCPシステムを取り入れたり、第三者機関の査察や定期的な検査結果の公表といった科学的な安全を確保するシステムが求められています。そんな中で千興ファームの取り組みは、とても参考になると思います。
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