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増えている?減っている?サルモネラ食中毒を再考察

77 2004年7月18日
増えている?減っている?サルモネラ食中毒を再考察
 先月、食中毒の発生傾向を分析した記事中に「サルモネラ食中毒はいっこうに減少傾向は見られない」と書きましたところ、読者の方から「ここ5年間で確実に減少傾向、もしくは一時期より確実に減少しているのでは」とのご指摘を受けました。誤解を生むような表現を反省するとともに、改めて考察します。(参照記事「食中毒予防の3原則はもう古い!第4の方法とは?」)。

 サルモネラ菌属の食中毒の発生状況を今一度見てみましょう。
●サルモネラ菌属の食中毒
年 :96年 97年  98年 99年  00年 01年 02年 03年
事件:350  521  757  825  518  361 465  350
患者:16576 10926 11471 11888 6940 4949 5833 6517

 私が「減少傾向が見えない」としたのは、01年から03年のここ数年で患者数が増えていることを踏まえてのことです。ただし、同じ時期の事件数の推移に目を移すと、361件、465件、350件となっており、増えているとは言えません。00年の518件から比較すると、減少傾向だとさえ言ってよいでしょう。食中毒の傾向を議論する際、通例件数で言いますので、読者の方のご指摘通り、「いっこうに減少傾向は見られない」は、言葉が正しくありませんでした。「患者数は増加しています」に訂正いたします。

 ちなみに食中毒について語るときに、事件数より患者数を重く見たいと思います。というのも、患者さんが食中毒とは気づかずに病院にかかり、検便からサルモネラ菌が検出された時、すでにかなり時間も経っていることもあり、保健所に届けるかどうか医師の判断により、都道府県により違いがでます。事件数は実態をすべて表しているとは言い難いのではないでしょうか。

 さて、事件数が減少し、患者数が増加しているということは、1件当たりの患者数が増加していることを意味しています。つまり、大型の事件が増えていることになります。これは、ホテルや大型飲食店、給食施設での事故が減っていないこと、依然としてリスクが高いことを示しているのです。

 サルモネラ食中毒事件大型化の原因の1つは、大量調理施設のホテル、弁当、仕出し、給食施設で食中毒を起こしているからです。卵をたくさん使うところは、まとめてボールに割り込むことが多く、卵を100個まとめて割ると、5000個に1個程度の割合で発生するインエッグの卵が混じる確率は50回に1回です。そして発症する菌量に当たれば、100人がサルモネラ食中毒を起こすことになります。

 これは薬害エイズの輸入非加熱製剤と同じで、一度に何万人分もの米国人の血液成分からまとめて作ったため、ウイルスが混じったたくさんの血液製剤ができたのです。国産の血液製剤は数人分で作っていますので危険性が低かったのですが、米国で禁止になったものが安く日本に流れて来て、大きな薬害事件へと発展しました。

 一方で、旅館の朝食に出す生卵は1人1個ですから、汚染卵があったとしてそれを食べる確率は5000人に1人の割合となります。同じ大型施設でも、旅館の朝食の場面では、サルモネラ食中毒のリスクは高くないのです。

 卵の仕入れの面からもサルモネラ食中毒発生のリスクを探ることができます。卵をたくさん使うところは箱で仕入れます。賞味期限表示のシールは箱の外に張って、出荷時に賞味期限を打つことができ賞味期限の偽装が簡単です。インエッグの卵が混じっていれば、菌が増殖している確率が高いのです。こうしたリスクの高い卵をまとめて調理すれば、大型事件は容易に起こるでしょう。

 その点、スーパーで売っているパック詰めの卵は、パックする時にパックの中に賞味期限のシールを入れるので、後から偽装することはできません。また、スーパーではそれなりにチェックを強めています。スーパーなどを利用する小規模施設では、サルモネラ食中毒の発生リスクは低いのです。

 このように、卵の賞味期限はサルモネラ食中毒を防ぐ意味で重要な役割を果たします。先のデータをもう一度見てください。96年、97年、98年とサルモネラ食中毒が激増しています。当時の食品衛生調査会食中毒部会の記録によれば、激増した原因は卵のサルモネラ・エンテリティデイス菌汚染によるものと書かれています。また、三重県桑名保健所の調査研究で、サルモネラ菌による食中毒の約6割は卵が関係しているとしました。

 その調査結果等を踏まえて99年、農産品である鶏卵に食品衛生法で賞味期限が定められました。この賞味期限は鶏卵の安全性を保証するためのもので、3週間をメドにするとされました。その翌年の00年からサルモネラ食中毒の発生件数が減少傾向に転じたのは、この賞味期限の規定が奏功したと思います。

 とはいえ、期限を明確に定めてなかったために、偽装事件が起こりやすくなっていますし、京都の鶏卵偽装事件もこれが遠因だったのではないでしょうか。鶏卵組合の役員の方なら、賞味期限の意味をご存じのはずです。同じ賞味期限でも、卵は缶詰や包装食肉よりシビアにとらえなければなりません。

 京都の鶏卵偽装事件後のテレビ放送で関係者が2~3カ月後の卵でも生食用として出荷したと告白していました。その上、「それでも問題がなかった」と発言していました。賞味期限を安易に考えていて、賞味期限の偽装は常態としてあるのでないかと想像されます。残念ながら安全性の保証が崩れていて、リスク発生が考えられる状況にあると判断されます。

 大型施設での大量調理、賞味期限の偽装、あるいは賞味期限への関心の低さなど、サルモネラ食中毒発生のリスクは依然あるといってよいでしょう。古い卵がだぶついていて、一層そのリスクが高まったとしても、状況証拠だけでは、行政は卵が危ないと言うことができません。食中毒を起こした場合、料理を作った所が責任を持つことになり、そのためにもリスクを避けるように指導しなければなりません。食中毒を起こせば処分されます。問題は発生しているのです。生産者が責任を取ってないだけです。自由に発言できる立場の私が、食中毒発生の減少に何とかお役に立てればと思うばかりです。
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