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HACCPの観点で米国の「日本は科学的でない」発言を考える

68 2004年3月7日
HACCPの観点で米国の「日本は科学的でない」発言を考える
 今回のBSE問題で米国は、日本の全頭検査を求める態度を科学的でないと主張しています。しかし、新聞などでは科学的という部分を分かり易く解説した記事にはあまり見かけません。そこで、私なりに考えてみました。

 食品衛生の管理手法としてHACCP(危害分析重要管理点方式)があります。もともとは1960年代に米国NASAのアポロ計画において、宇宙食製造の際の安全性確保を目的として開発された品質管理プログラムです。国際的にもCodex委員会が93年にガイドラインを制定しており、EU、米国が中心となってその推進を図っています。食品の国際取引上の安全確保の方法として、今では食品衛生上のグローバルスタンダードとなっています。

 HACCPは品質管理プログラムというシステムですが、その思想、考え方が役にたちます。HACCPは、食品の安全性について危害を予測し、その危害を管理することで食中毒などによる危害の発生を予防し、製品の安全確保を図るというものです。

 従来の考え方は、検査したその結果に異常があれば、原因を追求し、その原因を取り除くべしというものでした。しかし、これは過去を調べていることになります。それゆえ食中毒事件では、明確に原因が判明することは、難しいケースがあります。しかも、原因が明確にならなければ、対策も立てられないと考えてしまいます。

 HACCPの危害分析は、製造する前に食品の安全を確保する目的で、危害を避けるにはどうしたら良いかを考えます。対象の製造品の安全確保のためですから、参考とする食中毒事故の原因は確定したものでなくても、事故を起こす可能性ありという推定だけでよいのです。推定でも事故を予防する方法が見つかります。むしろ、大胆な推理の方が有効な対策が生まれます。

 01年のBSEの問題では、同年6月に欧州委員会が「日本で狂牛病が発生する可能性を評価したところ、その可能性は確かにある」と通知してきたのです。欧州委員会は危害分析の考えで感染牛の肉骨粉を飼料用に使っていることが危害と考え、警告してきたわけです。

 しかし残念なことに、当時の農林省の担当官はHACCPの危害分析の考え方を理解していませんでした。「日本の安全性は高い。評価方法が疑問だ」と突っぱねてしまい、しかるべき対策をとることもしませんでした。それと、肉骨粉を飼料用に使うというリスクを知っていれば、1頭目の感染牛もきちんと処分して、豚や鶏向けの配合飼料の原料である肉骨粉になることもなく、あれほどの大きな社会問題にもならなかったものと思います。

 農林省のミスで大きな社会不安を起こしてしまいました。牛肉による新型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)の感染リスクという牛肉に対する不安が一気に広がり、「食の安心」ががらがらと崩れてしまったのです。そうなってしまったからには、政治的判断として「全頭検査」の導入は仕方ない面もありました。

 ただし、今回の米国からの牛肉輸入禁止問題を契機にグローバルスタンダードであるHACCPの思想の危害分析法を取り入れ、vCJDの感染を防止するという目的を明確にして、全頭検査にこだわることなく危険部位を除くとか、地域を指定するなどの対策を話し合うべきです。

 HACCPの考えにおいては全品検査はできないし、そもそも効率的でないという考えで始まっています。従って日本の主張する全頭検査は、グローバルスタンダードであるHACCPを全否定することになります。牛だけ全頭検査を実施するとか、日本に輸出する分だけ全頭検査を実施するということは、HACCPに照らし合わせてみる限りは、どうにも難しいようです。

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