スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

フードチェーンについて

50 2003年5月18日
フードチェーンについて
前号に続いて衛生管理システムについて書きます

病因物質別食中毒発生状況(平成14年 速報値)                             事件数   患者数  死者
サルモネラ属菌 425    5582   2
カンピロバクター 420 2038 -
小型球形ウイルス  243   6838   ー
腸炎ビブリオ        213   2639  ー
ウエルシュ菌          36    3792  ー
腸管出血性大腸菌(VT産生) 12 256 9

平成14年食中毒事件発生状況
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/02hassei/1.html

 サルモネラ属菌が件数ではトップです。サルモネラ・エンティリティデス菌によるものでしょうか。卵に注意すれば有る程度防げるはずですがね。福岡市はリスク情報が行き渡ったせいかほとんど発生していません。

 件数としては3番目ですが、患者数でトップなのが、ノロウイルス(小型球形ウイルス)です。学校や保育園で集団発生しているため患者数が多いのでしょう。集団発生のケースでは人からの2次汚染対策が重要です。手洗いとお腹の調子が悪い時にはきちんと届けるこという従事者自身の健康管理が大事です。もちろん生食用のカキも要注意です。間違っても大勢で喫食する披露宴には生食用のカキは使わないでくださいね。

 ウエルシュ菌が患者数では3番目に発生しています。芽胞が発芽する温度条件を与えないことが大切です。大鍋で作ったスープとかカレー、煮物、バイキング形式の湯煎等注意が必要です。

 腸管出血性大腸菌(VT産生)の食中毒で9人亡くなっています。宇都宮の事件は、和え物でした。福岡の保育園はキュウリのあさずけでした。未加熱の野菜、牛肉には注意しましょう。生食用のキュウリ、レタス等は消毒してください。

 このマガジンで書いているように、どういう食材が、どういう行為がリスクが高いかを全員が知るというと言うリスクコミニケーションをしっかりすれば、食中毒の80%は防ぐことができます。

 では、残りの20%に当たったらどうするか、100%にするにはどうするかが今回のテーマです。

◆◆◆◆◇◆◆◆◆◇    衛生管理の方法    ◆◆◆◆◇◆◆◆◆◇

 食品の安全を確保するにはどうするかというテーマで考え出されたのがHACCPシステムです。HACCP(Hazard Analysis and Critical Control
Points:危害分析重要管理点)システムは、米国航空宇宙局(NASA)における宇宙食の製造に当たって食品の安全性を高度に保証する衛生管理手法として開発されました。HACCPはあらかじめ危害を予測する。つまり、失敗学
を用いてプロセスを管理する方法です。

 それにしては、厚生労働省が承認するマル総(総合衛生管理製造過程)の指導的役割をしていた乳業メーカーが大きな食中毒を起こしてしまいました。過去に同様な事件が無かったかというと、タケノコ缶詰や粉ミルクで黄色ブドウ球菌の毒素による食中毒の記録があります。失敗学が活かされていません。それと、原材料の脱脂粉乳にたどり着くのに遅すぎます。系列工場の書式、方式をパソコンデーターで持ってきて、システムの形だけまねて作るとこうなるのでしょうね。システムは人が動かすものですから、教育をおろそかにしていたのじゃないでしょうか。

 HACCPというと7手順12原則と思ってしまいますが、土台として、一般衛生管理があります。それが「CODEX ALMENTARIAS」です。そこには、食品の温度管理とか、機会設備の清掃、個人の衛生 意識や管理等、あたり前のことが書かれています。このあたり前の徹底が意外に難しく地味な運用なので軽んじられ易い。この基礎的な土台を大前提をする事が大事です。

 今回CODEXを学んで気が付きました。CODEXでは第一次製品の生産から最終消費に至るフードチェーンで見ており、食中毒事例から見ていくと大変効果的に書かれています。失敗学を活かす事ができます。その観点からCODEXを見てみましょう。

 過去の食中毒事例では、調理する所だけでなく原材料、仕入れ材料に問題が有るケースが大変多く見られます。フードチェーンで見ていかないと食中毒は防げませんし、食中毒を起こしたときは調理、提供した事業者が責任を問われるケースがほとんどです。

フードチェーン
 第一次製品の生産、加工→ 輸送 → 調理、製造 → 消費者
   菌の汚染?     菌の増殖? (行政処分)  

 例えば居酒屋で腸炎ビブリオの食中毒を起こし、原因食は磯御前という和食でした。中にハマチの刺身がありました。そのハマチは魚屋からブロックで配達して貰っていました。事件後その魚屋に行ってみると、まな板は木製で使い込まれているため、中心部が凹み水が溜まる程でした。おまけにその日は交通事故で渋滞していました。居酒屋は冷蔵庫に保管し刺身に引くだけです。魚屋での2次汚染と配達の問題もあります。しかし、提供したのは居酒屋です。行政処分、民事の賠償も居酒屋だけです。

 セクション3 第一次製品の生産として書かれており、「フードチェーンの後の方の段階で、食品の安全性又は消費の適切性に悪影響を与えるような危害を招く可能性のあるものを減らす。」とあり、生産者が守る一般原則が書かれています。
 そして、セクション5 作業の管理で「受け入れ品に対する要求事項」を設け、通常の操作や加工では許容レべルまで減少できないよう原材料又は素材は受け入れないことが望ましい。必要に応じ、原材料又は素材の仕様を明確にし、適用することが望ましい。

 特にリスクが高い、鶏卵(サルモネラ)、生食用のカット野菜、生食用の食肉、魚介類のブロックなど自分の所に菌を減らす工程が無い食材については、検査成績書の提出や現地調査を行い、仕様を決めるなど一歩踏み込んだ衛生管理が大事です。養鶏場や仕入れ先の食肉店、鮮魚店の衛生管理が大きく影響します。
 また、仕入れ時のチェックには、温度や鮮度、表示の確認も必要です。鶏卵の検査として、平らな皿に割ってみて白身の状態を見る事で古い卵を排除することもできます。仕入れの担当者も食品のリスクを知ることも大事です。

 セクション7に要員の衛生があり「健康状態」の項目があります。
・食品を通して媒介する可能性のある病気の保菌者と判っている又はその疑いのある要員は、食品を汚染する可能性があれば、あらゆる食品の取り扱い区域に入ることを許さないことが望ましい。
・直ちに病気であること及びその症状を管理者に報告することが望ましい。
・食品の取り扱い者の医学的検査は、臨床的又は疫学的に実行されることが望ましい。

 ノロウイルス対策には「直ちに病気であること及びその症状を管理者に報告すること」
この項目が大事になります。これをシステム化することです。名前と下痢等の症状を書いた一覧表を作り、仕事前に自己申告させ、リーダーはそれを見て、仕事の配置や注意を行います。

 HACCPは失敗学を元にシステムを組み立てています。新しい食中毒事例や知験により改良していくことが大事です。CODEXは基本原則を書いており、具体的な数字はあまりありません。大量調理マニアルは小学校の腸管出血性大腸菌O157事件後に書かれたもので、回数等のしばりが多い割に現状と合わない所があります。例えば、O157を含む検便検査を毎月義務付けています。しかし、ノロウイルスに対しては、検便は全く効果はありません。手洗い方法も消毒液として逆性石けん液を指定していますが、ノロウイルスには効果がなく、石けんで汚れと一緒に病原物質を十分に洗い流す方法に変える必要があります。そうなると、30秒間洗う事が大事で、作業開始時の手洗いがスムースにいくためには、従業員数に応じた手洗い器の数と温水が使える事が大事になります

 毎月のO157付きの検便検査には、かなりのコストがかかります。より効果的な衛生管理方法についてコストを含めた検討が必要です。検討するには、衛生管理の方法を効果、難易度、コスト等に分けて一覧表に書き検討するシステムマトリックスが有効です。

 HACCPの基礎となる一般衛生管理は、危害分析に基づいた思想でCODEXの基本原則を参考として自らが構築する事が大事です。取り扱う食品、提供形態、毎に施設の状況により異なりますので、余所の資料を真似ただけでは何もなりません。一般衛生管理を組み立てる段階の従事者の参加意識が教育効果を産みます。

 また、この一般衛生管理はどこの食品関係施設に取っても必要でCODEXの基本原則で危害分析により行えば、食中毒の予防になるし、HACCPシス
テムを導入するにもスムースにいきます。

 ISO22000という新規格が2004/末に発行予定になりました。これは、食品の安全性をマネジメントするもので、ISO9001にHACCPを加えたものです。また、22000が発行になったら、現在ISO9001の取得を考える場合、食品業でしたら当然ISO22000にすることになります。このようになってきた背景は、世界的な食品の安全管理が必要になってきているからです。

 次回に続きます。

◆◆◇◆◆◆◆◇◆◆ 読 者 か ら ◆◆◇◆◆◆◆◇◆◆◆◆◇◆◆◆
SRASに関して、読者から質問が来ています。皆さんにも関係するかもしれませ
んので引用させていただきます。

戸谷真理子さんが世界のSARS情報をwatchして届けてくれています。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/7663/

>以前から気になっていたのですが、中国からの輸入食品からの感染の可能性は無いのでしょうか?

★CDC:職場で貨物やパッケージを扱う人のためのSARSの防疫のためのガイドライン(5月8日、新規策定)
http://www.cdc.gov/ncidod/sars/cargoworkers.htm
Interim Guidelines about Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) for Workers Handling Cargo or Other Packages

現在、SARS感染国から輸入された貨物などからSARSが感染し得るとする何の証拠も無い。一般的な職場に勧められる手洗いなどの衛生確保は勧められることであるが、マスクやグローブなどの防疫器具を常に使用することは勧められない。
(注:3月19日からずっとSARS情報をWatchingしていますが、新しい知見がどんどん出てきています。ガイドラインのいう「手洗い」はきちんとなされたほうがいいと思います。)

さらに仙台検疫所岩崎先生からの情報です。

食品などに関しては特に一般の方々から問い合わせがあります。このウイルスの関してのいろいろ情報が錯綜して、ますます混乱しているようです。確かに中には24時間以上生き延びるウイルスもいるでしょう。便のような中では数日生きる・・・と言う事も十分考えられるでしょう。

実際には乾燥した表面に荷物などや梱包しているダンボールなどでは表面にウイルスがついても手元に来る頃には死滅していると思います。
万が一、ウイルスが生きていても、感染させるだけのウイルス量があるか・・・と言うと、それはないと思います。

食品にしても心配はないと思います。
例え付着してきても、洗い流す、あるいは過熱処理などで十分感染の可能性はなくなります。
ウイルスは凍結乾燥などでは生きたまま保存は出来ます。しかしそれらも解凍した時点で、その後は数時間で死滅しますので、心配しないで良いと思います。

SARSもエボラ出血熱同様、殆んどが下痢をしているようです。エボラも多くは下痢が感染の元になっていました。

SARSも接触感染の様相が強いような気がしますが・・・・

心配であれば、手袋をして梱包を解き、手を洗う・・・・そのうちウイルスは死にますから・・・
それらが更に何処かについて増えるほどウイルスは強くありません。

実施にデータ―などはありませんが、今の疫学などから推測すると、この程度で全く心配しなくとも良いとおもいます。

もともと病原体は人や動物について、その中で増えながら伝播し、感染してゆくのが自然です。ですから体外では特殊な培養のような環境でない限り、増殖も出来ないし、したがって感染源になる可能性は時間とともにぐっと少なくなると理解してよいと思います。
                       岩﨑 惠美子   

戸谷真理子さんのコメントもありました。
(3月19日からHPを立ち上げ、日本の報道を見てきましたが、『海外のマスコミが正確な情報を流す中』、日本のメディア、とくにTVが多かったのですが、「インフルエンザより全然たいしたことない」「95%の人は自然治癒するんだしたいしたことない」と報道するのが目立ちました。酷いものでした)
                         戸谷真理子

たしかに、テレビに出ている評論家は新しい知識、情報を知らない人が多いようです。アンテナの感度が悪い人がたくさんいます。日本の新聞だけ見ていてはだめですね。
 インターネット時代は、戸谷真理子さんのホームページを見つけるとか、公衆衛生ネットワーク等優れたメンバーが加入しているメーリングリストで情報を見る等日頃からアンテナの整備が大事な事を痛感します

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

consalmasa

Author:consalmasa
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。