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現場からみた食中毒事情 2

29 2002年6月16日
現場からみた食中毒事情 2
福岡市の保育園で病原性大腸菌O157の集団感染が起こりました。昼食に出されたキュウリの浅漬けからO157が検出されたと発表があり、保育園の給食が原因の食中毒の疑いが強まりました。
 この事件の際、テレビ局からインタビューを受けました。事件の内容は、記者発表の範囲しか知りませんが、一般的な食中毒事件の考え方や平成8年私がタッチした保育園の事例について答えましたので、今回これを書いてみます。

 「保健所の片隅から」は色々の新聞や雑誌に紹介され、講演会の依頼も増えてきています。感激したのは、雪印乳業(株)さんからの依頼で、思わず私の本の「私は寝てないん考を読んだのですか」とお聞きしました。それは、ブレイク思考の「なぜとなにを考える」の事例として、大阪の事件を取り上げて、雪印乳業(株)さんには厳しい文書だと思っていたからです。
 講演会の当日会社の入り口に「大阪の食中毒事件を風化させないための講演会」とあり、雪印の取り組みが見えました。講演会は、たくさんの社員の皆様の参加があり、熱心に聞いていただけて熱が入りました。質問も「食の安全を確保する」「信頼を回復するにはどうしたらよいか」と真剣に会社再建に取り組んでいるようすがうかがえました。

 平成8年D保育園の感染症の場合
1. 届出
  医療機関より市内保育園児(1歳)が腸管出血性大腸菌(0157、VT2)に感染しているとの届け出があった。

2. 初動調査
  保育園というO157の感染リスクが高い施設のため、予防課と衛生課で初動調査を行った。
 ・食品係は、給食施設の衛生状態、メニューのチェック、調理従事者の健康状態、検便、ふき取り検査、保存食の確保を行った。特に異常は認められなかった。
 ・予防課は園児及び職員の健康調査、施設調査、園児の接触状況の調査を行った。職員からの聞き取りと園の各園児ごとに記録された健康観察表、毎朝の保護者の健康申告書を全園児153名について調査し、現在下痢症状の子供はいないことを確認した。
 ・園では水道水のみの使用で、井戸水は利用していなかった。

 接触状況から、全年齢の園児間での交流があり、さらにプールの共有がある事が判明したため、全園児(長期欠席者を除く)、職員の検便を行うととした。

3. 検査結果
 翌日夜、0、1、2歳児クラスで複数の感染者が判明したことから、集団感染と判断した。
 接触状況に応じて複数回数の検便を行うと共に、感染者家族等の検便を行った結果初発患者を含め合計27名となった。

4. 説明会 複数の感染者の判明したため、父兄の説明会を実施、保健所長と予防課
長、担当者が出席、経過を説明するとともに、家庭での注意、家族の検便(希望者)を行った。重篤な症状になる可能性のあるO157の場合、園と協力して、父兄に説明する事が大切である。

5. 対策会議
 福岡市では保健福祉局長をトップに専門家からなる対策会議を設置した。
 ・過去2週間分の保存食からO157は検出されなかった。
 ・園の2階の0、1、2歳児クラスで検出され、1階の3,4,5歳児クラスで1人(弟が感染しており、家庭内感染の疑いあり)しか感染してなく、共通の給食とは考えられないことから、給食を原因とする食中毒ではない。
 ・初発患者1名は経過良好で回復した。残り26名は経過を通じて全員無症状であった。
 ・園の施設、プールの排水口の水、玩具等のふき取り検査からは菌を検出しなかった。個別の喫食調査でも原因は究明できず、感染経路も確定はできなかった。

6.今後の防疫活動における注意点、課題
  ・保育園等の集団生活の場で感染者が発生した場合、有症状者がいない場合でも感染力が強いことを認識し、接触状況によっては積極的に検便を行うことが望ましい。 
・プール使用については、乳幼児では小型のプールを使用する場合が多く、消毒等の管理について適正に行うことが必要である。
  ・保育園等における健康観察の記録がきちんと取られることが防疫活動上重要であり指導が必要である。 
  ・保育園に菌を持ち込まない、持ち帰らない等の保護者の食事、衛生面での協力、理解を求めることが大切である。
 
 テレビのインタビューを受けたのは、原因食が発表される前で食中毒が疑われ始めた頃です。
 保育園の感染症の場合、一般的には感染ルートは園の給食による食中毒、園児の排便時のおむつ交換時の保母さんの手指からの2次感染。乳幼児では小型のプールを使用する場合が多く、プールを含む子供同士の感染。それと、家庭を含む園外で感染したケースが考えられる。

 感染ルートを見分ける場合、
 ・暴露時間の推定  食中毒菌により特有の潜伏時間があり、発症時間のグラフで1つのピークであれば、単一暴露(1つの感染源)と推定されます。ピークが複数であったり、何日も続いている場合は繰り返しの暴露で、接触感染が疑われます。
  単一暴露であれば、特有の潜伏時間を引いて、その時間に何があったかを見ていきます。
 ・患者の共通性
  保育園の場合、クラス毎に行動する場合と給食のように同じ食事をする場合があり、患者間の共通性を見つけます。
 ・感染率
  園児が菌を体内に取り込むのは、接触感染より食事による方が大きいと推定されますので、接触感染の場合そんなに高い感染率が見られないと思われる。

 以上のことを踏まえ、今回の保育園の感染症は、発症時間がそろっている。全学年、職員からも検出され、感染源は園に共通のものである。感染率が高いことから、給食による食中毒の可能性が高いのではないでしょうかと解説しました。

参考
 ・保育園における腸管出血性大腸菌(0-157)集団感染事例
        ~初発者を除く全員が健康保菌者であった事例~
                     博多保健所予防課

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