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ノロウイルス感染予防対策

145 2007年6月17日
ノロウイルス感染予防対策
ノロウイルス感染予防対策
 5月12日、京都で開催された「第12回食の安全を考えるつどい」に参加
してきました。「つどい」は、関東から関西の食品衛生監視員有志が世話
人となり、衛生監視員のほか消費者団体、国の研究者等の人が集まり、食の安全について語り合う会です。今回の発表の1つ、東京都の食品衛生監視員によるノロウイルス関連の研究が、集団感染の現場で大変役に立つと思われましたので、ご報告いたします。

 まず、「杉並区における感染症対策」を杉並区保健所の谷口力夫監視員が、区立保育園44園を生活衛生課食品衛生担当と保健予防課感染症担当が連携して調査研究した結果を報告しました。園児の健康記録を食中毒調査と感染症調査にも合致する形式に統一し、区立保育園44園における2004年から2006年冬季の嘔吐、下痢症状などの有症園児の記録を毎日まとめたものです。それによると1回の集団発生で約30%の園児が感染し、0歳児、1歳児の発症率が高く、症状は嘔吐の割合が8割、年齢が高くなると下痢の症状が高くなることが分かりました。

 ノロウイルス感染症は、吐物に含まれるノロウイルスの飛散によると推定される感染が増えており、おもちゃや手指を介しても感染し、保育園での感染防止が難しいことが分かります。ただし、全国的に06年はノロウイルスが大流行したにもかかわらず、04年、05年と比較すると06年の杉並44保育所の有症園児数は激減していました。このことは、保健所の指導とともに乳幼児施設職員の対応が適切であったことを示しています。手洗いなどの予防対策を知った上で、職員全員が高い意識を持って確実に実行してはじめて効果が上がることが示唆されました。

 一方、食中毒としてのノロウイルスは、調理従事者が食品を汚染させるケースが多く、調理従事者自身の感染を防止することが大切です。感染機会として、園児室の出入り、園児との接触、トイレの共用、手洗い施設の不備、素手による下げ膳処理が推定されています。

 杉並保健所が研究のために行った区内保育園の検査では、不顕性感染調理者(感染しても症状が出ない人)が数%いることが分かり、不顕性感染者対策が必要となりました。しかし、コストがかかることから、営業者にノロウイルスの検便を義務づける必要があるのか迷っている様子です。実際、演者から「不顕性感染調理者を見つけるための営業者の定期的な検便検査は必要でしょうか?」という質問がフロアに対して投げ掛けられました。

 そこで私は、次のように意見を述べてみました。「感染者から食品への汚染ルートは手指であることから、健康チェックと手順通りの手洗いを全員確実に行うことで汚染ルートを絶つことができます。不顕性感染者が一定数いるかもしれないことを前提にして対策をとることが有効です。そのため、手洗いをきちんと指導し手指のふき取り検査で手洗ができているかを検証していくことで人の便由来のノロウイルス、サルモネラ菌、赤痢菌等の感染を防ぐことはできます。検便は採便した時の状態を示すだけなので、根本的な予防対策にはなっていません。ウイルスの体内の保留時間を考えると最低月2回必要となり、コストを考えると不可能です」。つまり、営業者の定期的な検便検査は不要だと思います。

 次に、「ノロウイルスの消毒方法」と題して、中央区保健所の小暮実監視員が発表しました。ノロウイルス感染予防の3原則は「つけない」「広げない」「排除する」です。その具体的対策として、加熱消毒、薬剤消毒、物理的排除について、詳しく説明されました。

 加熱消毒には85℃1分間が必要です。じゅうたんは熱湯・スチーム、布団は乾熱消毒、ぬいぐるみのように洗浄しにくいものは、水をスプレーしビニール袋に入れて電子レンジで熱を加えることを勧めています。小さな子供のいる保育園ではおもちゃを洗えて消毒できる素材に変える必要があります。

 薬剤消毒は次亜塩素酸Naが効果があります。次亜塩素酸Naは酸性側で殺菌力が強くなりますが、次亜塩素素酸Na自体はアルカリ性であり濃度を高めると殺菌効果が落ちてきますので殺菌力を高めるため、調理場にある食酢を加えます。次亜塩素素酸Naの希釈濃度は200ppmで次亜塩素素酸Na(ハイター)の説明書を読んで計算し、ハイターと同量の食酢を入れて酸性にします。ただし、ハイターの原液に食酢を入れると塩素ガスが出て危険ですので、必ず薄めた液に食酢を入れるとのことです。

 物理的排除としては、洗浄・清掃・換気があります。ノロウイルスはノロウイルスは従来消毒液として使用されていたオスバンオスバンやアルコール製剤は消毒剤として効果がありませんので、消毒よりも物理的に洗い落とすことが肝心です。そのためには、十分なお湯が出る設備が必要で、手洗い用として泡タイプの洗剤を用意しておきべきです。

 掃除機については、高性能フィルター付きの掃除機でなくては、微細なノロウイルスを取り込むことができません。普通の掃除機を使うと、飛散させることになりかえって危険です。吐物は専用のガウン、手袋、マスクをして湿らせた雑巾かペーパーでふき取り、袋に入れ次亜塩素素酸Naを注入して密封して処分します。吐物の後はスチームは熱湯で消毒することです。その後十分に換気します。窓を開けられない場合は、空調機にて空気を循環させながら次亜塩素酸NA200ppm溶液を部屋一杯にミスト噴射します。

 両監視員の報告は、試験室内だけの分析にとどまらず、現場に密着した有益な研究だと思いました。食品衛生監視員ならではものでしょう。次亜塩素酸Naに酢を加える方法は、まな板や野菜の消毒にも有効で、私も指導に使っており、是非多くの関係者に活用いただければと思います。このような有効な研究成果は、食品衛生の現場で広く普及して欲しいものです。
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