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日米の食品衛生監視システム比較で米国牛肉問題を考える

115 2006年3月19日
日米の食品衛生監視システム比較で米国牛肉問題を考える
 先日、米国のレストランの監査システムについてのセミナーを受講してきました。私も保健所の食品衛生監視員として、長年日本の飲食店の監査を手掛けてきましたので、私の感じる日米システムの違いの意味、特に今回の米国産牛肉輸入再停止の原因となった米国牛肉の処理システムについても考察してみます。

 セミナーでは、1997年11月にロサンゼルスで放映されたテレビ番組「厨房の裏事情」が紹介されました。隠しカメラによる潜入レポートなのですが、ひどい飲食業界のじ実態が浮かび上がってきました。手を洗わないで食材に触る、食べ残した皿にあったつぶしていないレモンを、次の料理に入れて出す、できた料理をつまみ食いする……。これに対する視聴者の反応は大変なものだったといいます。

 これでは、衛生管理の監督をする衛生局の面子が丸つぶれとなり、その結果、衛生局の意地をかけた検査と監視が開始され、ロサンゼルス郡すべてのレストランが、衛生度合いによるA.B.C.のランク付けがなされることになりました。そして00年1月1日からカリフォルニア全州の食品衛生管理資格者制度(食品営業施設のHACCPシステム)に結実したのです。

 講師を努めた安田健彦氏は全米で唯一人、米国食品衛生管理資格者制度のもとに日本語で講義、試験を行うことができる公認講師で、実際にレストランの監査活動も行っています。

 米国のレストラン検査 Restaurant lnspection は、保健局で必要な食品衛生(Food Sanitation)と公衆衛生の訓練を受けた資格者である、衛生局の検査官のみがインスペクターとして検査に当たっています。検査官は新規開店計画書から予備検査を行い、開店前にも最終検査を行います。また開店後の通常営業時間内に定期的な現場立ち入り検査も行います。

 カリフォルニア州の一部の都市では、食品安全衛生基準として、GRADESYSTEM(グレードシステム:採点方式)制度が実施されています。 74の検査項目を採用、すべてのレストランの衛生度合いが点数で表示され、お客が見える店頭に掲示するよう義務付けています。FDAでは最低6カ月毎の検査を勧告していますが、実際は3カ月毎の間隔で行われています。

 この制度の最大の目的は食中毒の予防で、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)の考えを取り入れています。監査は予告なしに行われ、監査結果はインターネットで公開しています。

 日本では、1950年から飲食店などの一斉衛生検査を行っています。対象は原則としてすべての食品関係営業施設であるため、1人当たりの監視件数が多いのです。私も現役の時は、秋から冬にかけて料飲組合単位で毎日、飲食店の衛生検査を実施していました。多い日は1日に40~50店訪問していましたスタートした時代背景からして、秋の一斉清掃の一部という雰囲気で始まったのでしょう。事前に連絡しますので、監視はハードの整備状況と清掃状態のチェックを主としたもので、04年4月の食品衛生法の改正により、チェックの結果を記載する食品衛生監視票を設定、店舗内に掲示するよう規定しています。

 ただし、すべての営業施設に使うため、点数を付ける各項目は抽象的で、施設の比較を示す相対評価になりやすく、危害を防止するという働きは弱くなります。手法を変えないとインターネットに公開することもできません。

 米国の監査の最大の目的は食中毒の予防で、米国のグレードシステムは、HACCPのHA(危害要因分析)の考え方、予め危害を知ってどうしたらそれを避けられるか、どういう行為・操作が危険かを知らせることにあります。採点の配分が高い重要な項目は、温度と時間、pHなどを検査官が測定して、具体的な数字で評価し、どのような操作、行動が危険かを理解させ、採点結果をインターネットで公開するという、厳しいけれども効果の見込める方法です。減点理由が具体的であるだけに改善も容易で、衛生水準を引き上げて食中毒の防止に効果があると思いました。

 例えば、重要項目である「食品の温度」は、食中毒の危険性が高い食品群を検査官が中心温度計で測定し、室内温度かそれ以上の温度で保存されていると違反となります。また、カレールーが73.9℃まで再加熱されてなければ減点で、これはウエルシュ菌食中毒の予防です。溶き卵の容器(ボール、器)は4 時間毎に洗浄殺菌されてないと減点です。日本で過去に起こした親子丼が原因食となったサルモネラ食中毒は、溶き卵の容器でサルモネラ菌が増殖した結果、起こっています。また、食品、食器を扱う従業員がトイレ、飲食
後手を洗わなかったら減点となります。危険な行為を数字で示して理解でき形で減点しています。

 米国と日本はリスクの捉え方が違っていて、日本は見た目を重視し、清潔=安全と考えています。また、食品添加物などのように感覚的によく分からない化学的リスクに敏感に反応し、実際の多く発生している食中毒等の微生物学的リスクに無頓着のように見えます。それが監査の方法にも表れているように思います。

 輸入食肉のBSE(牛海綿状脳症)の問題でも、米国は食肉による変異型クロイツフェルトヤコブ病に罹るリスクは少ないと考えているせいか、輸出プログラムが徹底せず日本向けの牛肉に特定危険部位の脊柱を入れるという単純ミスを犯してしまいました。一方で、アラバマ、フロリダ、ルイジアナ、ミッシシピー、テキサスの各州で収穫された生食用カキは、レストランにおいて警告表示が必要で、守れないと減点の対象になります。

 表示に「May be sick」と表示された生カキを自己責任で食べてくださいというわけです。日本も生カキのリスクは非常に高いのですが、あまり問題になっていません。日本でも同様の表示をすれば、食中毒は減るでしょう。現役の時、飲食店で「レバ刺し、鶏刺しは食中毒の危険がある」と注意しますと、飲食店は「客から注文があるから提供する」と答えてました。今思うと、警告表示をしていて提供すればよいのではないでしょうか。美味しい物を自己責任で食べる自由はあると思います
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