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今年期待したい食品業界でのISO22000導入

112 2006年2月5日
今年期待したい食品業界でのISO22000導入
 今年は、ISO22000や「食品衛生管理運営基準」改正が本格的に動き出し、食品衛生の考え方や食の安全を確保するシステムが大きく変わる節目の年になりそうです。そこで今回は、最近の食品衛生上の問題や考え方について、私の感じているところを書いてみましょう。

 食品安全委員会は、昨年12月「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクは同程度である」と答申し、それを受けて、米国・カナダ産牛肉の輸入が再開されました。輸出プログラムには、20カ月齢以下の牛、脳や脊髄などの危険部位の除去という条件があります。

 条件の輸出プログラムが守られているかは、相手国の企業がHACCPシステムにこの輸出プログラムを当てはめて、輸入者がHACCPの衛生管理水準を評価し適正と確認するか、相手国政府や第3者機関が衛生管理水準を評価することで、安全を確保することになります。EUや米国などでは、検査結果だけでなく、危害を防止するHACCPというシステムを評価する手法が進展しています。

 マスコミに登場するコメンテイターには、全頭検査、つまり検査結果による安全性確保の方が科学的で優れていると思い込み、輸入解除を不安視する発言をする人が少なくありません。「全頭検査をしない」という言葉は、「輸入牛=検査していない=危険」と言う短略した負のイメージを植えつけているようです。

 しかし、BSE検査は20カ月齢以下の牛での感染が確認できないなど、絶対的に安全とはいえません。感染リスクのある特定危険部位をすべて除く方が、変異型クロイツフェルトヤコブ病の感染予防には効果的です。

 その前に、BSEを発生させない、BSE発生を予防するには、牛に牛の肉骨粉を与えない飼料管理が重要です。私は、全頭検査を開始した01年10 月当時、飼料にBSEに感染した肉骨粉が混ざっていたかも知れない、肉骨粉がきちんと管理できてないことがBSE発生につながったと考えていました。したがって、飼料管理をきっちりすれば、順次若い牛からBSE検査をしないでも済むと思います。

 継続的に安全な食品を確保するためには、最終検査で排除する方法でなく、危害を予め予想して、その危害の根本原因を管理して予防するHACCPという総合的なシステムの方が有効です。

 システム中に危害を予測して予防する方法が含まれてないと、耐震構造偽装問題のように書類を偽装されてもチェックできなかったり、株式の誤発注を自動的にストップするシステムがなく、多額の損失を出したジェイコムショックのようになります。あくまで操作するのは人間ですから、パソコンや精密機械に頼り過ぎることなく、総合的なシステムで予防することが効果的です。

 昨年9月にISO22000が発行しました。ISO22000のタイトルは「Food safety management systems- Requirements for any organization in the food chain」です。訳すと「食品安全マネジメントシステム-フードチェーン内におけるどんな組織のためにも使える要件事項」となります。ISO22000 の本文は著作権があり引用することはできませんが、ISO本部のホームページにAbstract(要旨)があり、全体が書かれています。

 ISO22000は、食品の安全性を保障するHACCPを、組織全体で継続的に改善実施されるようにISOシステムにHACCPを組み込んだ食品安全を確保するマネジメントシステムです。日本版のHACCPである総合衛生管理製造過程では、必ずしも経営トップの責任が明確になっていない、組織間、部署間の連携の重要性が明確になっておらず、製造工程を主な対象としているフードチェーンとして機能してない、PDCA(改善のサイクル)を十分機能させるには不十分という欠点が指摘されていました。ISO22000は、それらをかなりカバーしており、設備にお金をかけた「HACCP対応工場」とはまったく逆の発想で、「ハードではなくソフトで構築する」ものとなっています。

 ISO22000には、フードチェーンという言葉がタイトルに入っていますが、危害を予測して防ぐには、「台所からテーブルまで」の安全性確保が重要で、原料が悪ければ良い商品は作れません。Abstractには「food is safe at the time of human consumption.(お客さんが食べる時点で安全であるためのシステムであること)」とあることから、この重要性が分かるでしょう。

 総合衛生管理製造過程を取得していた雪印乳業の黄色ブドウ球菌食中毒事件の原因は、原料の脱脂粉乳でした。それも同社の大樹工場の生産設備で、停電により黄色ブドウ球菌が増殖したものでした。過去にも粉乳で黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンに食中毒は発生していますし、危害要因分析をすれば、フードチェーンにおける原材料製造の衛生管理が重要なことが分かるはずです。

 Abstractにはマネージメントの方法として、「to plan, implement, operate, maintain and update a food safety management system aimed
(実行し、操作し、維持して、アップデートしなさい)」とあります。つまり、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)の品質管理の手法であるPDCAサイクルを取り入れ常に改善することを求めているのです。

 EU、米国等では、HACCPによる衛生管理水準を評価して、国際的食品取引を行う方法が進展しており、ISO22000は、食品輸出国を中心に普及してくるものと思います。食品輸入国の日本がISO22000の普及を遅らせると、ISO22000で管理された安全な食品はEUや米国に優先的に輸出され、管理されてない(安全性が低い)食品は日本へということになりかねません。

 あるいは、ISO22000で管理された安全な食品がどんどん輸入されると、現在の国民のイメージ「国産品の方が安全」とは逆に、「ISO22000で管理された輸入食品の方が安全」ということになり国産品の競争力が低下してします。今年は、食品業界のISO22000導入の様子をじっくり見守っていきたいと思います。
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