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これからの衛生管理に肝心なのは食品微生物的知識

107 2005年11月6日
これからの衛生管理に肝心なのは食品微生物的知識
 これからの食品衛生を考えるに当たり、あらためて微生物学的知識の必要性が見直されています。FAO/WHOのCodex委員会が示している食品衛生の一般原則でも、微生物や化学検査で検証し作業手順を工夫して改善することが奨励されています。食品衛生の目的や意味を考えれば、おのずと食品微生物的知識が必要だということが分かるでしょう。今回はこれについて解説しましょう。

 微生物は、個体が微小で肉眼では見えませんので、細菌検査をします。微生物は、環境中、食品中、人間の体内などあらゆるところに存在しています。また、微生物は人間と同じように栄養を摂り込み、増殖する生き物です。その生き物は、食品の腐敗や、変敗、食中毒も起こし、人間に危害を加えることがあるのです。

 細菌は発育増殖に必要な要因がそろった場合、2分裂によって増殖を繰り返します。細菌の菌数は分裂回数とともに、1→2→4→8→16→32→64…のように増えていきます。1個の細菌が分裂を7回繰り返すと128個になります。

 加熱調理後の食品は、微生物の数はゼロの状態まで殺菌されています。その後の容器に移す行為や冷やす行為で、細菌が汚染します。調理加工や盛り付け後の初期の衛生状態を示す初発菌数である一般細菌数が1000/g程度になりますと、同じ条件で同じ時間分裂を7回繰り返すと12万8000個となり、弁当、総菜の指導基準である一般細菌数の10万/gを越えてしまい、その後急速に腐敗に進みます。

 こうしてみると、初発菌量がその後の食品の品質に大きく影響することが分かります。初発菌量を抑えるためには、特に加熱調理後の食品に接触する器具の洗浄消毒、放冷中の空気環境、加工による手指からの汚染を注意する必要があります。

 食品中の微生物は、水分活性、水素イオン濃度pH、食品成分、保存温度、相対湿度、環境のガスの条件によってその発育が左右されます。その要因の中で最も大きく影響するのは保存温度です。菌の発育に最適の温度は35~37℃で、このときは増殖速度が極めてめて速く、世代時間(1個の細菌が細胞分裂して2個になるまでの時間)は腸炎ビブリオで10分程度、大腸菌では約20分前後、ブドウ球菌では30分前後です。

 発育条件に影響する保存温度を低くするか、60℃以上の保持すれば、世代時間は長くなり菌の増殖は遅くなり、食品の消費期限を延ばすことができ、食中毒菌の増殖が防止できます。特に菌が繁殖しやすい20℃から50℃の温度帯に長く置かないことが重要です。

 それから、見た目の綺麗さと微生物学的な衛生度合いは違うということを知ることも重要です。清掃して、整理整頓し綺麗に見えても、微生物に汚染されて食中毒菌やウイルスが付いている場合があります。十分加熱された食品を熱いうちに喫食する場合は見た目が少々不潔であっても、熱に分解されにくいブドウ球菌の毒素などは例外として、微生物的リスクは少なくなっています。反面、綺麗な店でもその食品が何時加熱されて、その後どのように保存されているかわからない食品のリスクは高いと判断されるのです。

 Codex委員会の食品衛生の一般原則には、衛生管理システムのキ一ポイントとして「時間及び温度管理」をあげて、重視しています。


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