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集団給食で気をつけたいアレルギー様食中毒


106 2005年10月16日
集団給食で気をつけたいアレルギー様食中毒
 昔から、サバなどの赤身魚やその加工品を食べた後1時間位で、顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱などの症状を呈する人がいました。当初は体質によるものと考えられていました。最近は、鮮度の低下したマグロ、カツオ、サバなどの赤身魚に含まれるヒスタミンが原因となることが分かり、アレルギー様食中毒として処理されています。
今回はこのアレルギー様食中毒について書いてみます。

 アレルギー様食中毒の届け出の多くは、学校などの集団給食施設や飲食店で、同時に多くの人が発症した場合であり、家庭での報告事例はほとんどありません。家庭での発症は、症状が比較的軽く、短時間で治ってしまうことが多いので、届け出がないまま終わってしまうケースが多いようです。しかし、実際には家庭でも結構発生していると思われます。

 アレルギー様食中毒の原因物質はヒスタミンという化学物資です。そのため、わが国の統計では化学性食中毒に分類されています。ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれているアミノ酸のヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌の作用で生成されます。したがって、この食中毒は細菌性食中毒と同じと考え、防止対策の面からは微生物由来であることを理解すべきです。

 1999年3月、福岡市内の病院給食で乳幼児や幼児が魚料理を摂食したところ、数名が食後10分から60分の間にかけて、顔面紅潮やジンマシンのアレルギー症状を呈しました。原材料のシマアジ切り身と食事の残品より高濃度のヒスタミンが検出され、アレルギー様食中毒と結論付けられました。

 使用されたシマアジは、前日に鮮魚店が仲卸業者から仕入れ、切り身にして冷蔵保管し、当日午後当病院に納入されたものでした。病院は購入後調理するまで冷蔵保管していました。なお、気温は3月ですので5℃から18℃でした。

 原因食品の鮮度低下とヒスタミン濃度の増加は、鮮魚店における保管状態に問題があったのではないかと考えられましたので、福岡市保健環境研究所で再現実験を行いました。

 その結果、5℃で4日間保存してもヒスチジン濃度は変わらず、ヒスタミンも生成されませんでした。10℃保存では3日までヒスチジン濃度は変わらず、4日から少しヒスタミンが増加しはじめていました。しかし、食中毒を起こすまでには到っていません。15℃に保存した場合、2日目でヒスチジン濃度はかなり減少し3日以降ヒスタミンは食中毒を起こす可能性がある濃度に上昇していました。20℃で保存した場合、1日でスタミンは食中毒を起こす可能性がある濃度に上昇しました。したがって、原因食品は2、3日室温に放置されていた可能性が高いと推測されたのです。

 食中毒が起こるほどのヒスタミンが生成するには、(1)遊離のヒスチジンが多量に存在すること(2)ヒスタミン生成菌が付着していること(3)ヒスタミン生成菌が増殖してヒスタミンを生成すること----が条件となります。魚介類の流通過程でヒスタミン生成菌が付着しやすい所は、常識的に魚由来の細菌が多く棲息する場所で、魚介類をたくさん扱っている鮮魚卸売り市場の海水、魚介類を入れるトロ箱、魚が接触する器具、手指だと推定されます。

 つまり、魚介類の水揚げから流通の過程の衛生管理が、アレルギー様食中毒を防止する決め手となるのです。拙稿「水軍の長崎・松浦港で取り組む腸炎ビブリオ撃退法」に書きましたように、殺菌した海水で魚体を洗浄し、温度管理を行なうことはアレルギー様食中毒予防には効果的です。

 魚種別にヒスチジン濃度を見ると次のようになります。いずれも魚100g中に何mgのヒスチジンが含まれるかというmg%という単位で表されます。ブリ1500、サンマ1100、キハダマグロ1000、ホンマグロ、1000、マイワシ910、ムロアジ870、ウルメイワシ740、シマアジ 700、マサバ650、カタクチイワシ610、トビウオ570、マアジ220、ヒラス200といった具合です。

 いったん生成されたヒスタミンは魚を加熱しても分解されません。調理施設では、温度管理が悪くていったんヒスタミンが増えると、生成されたヒスタミンを減らす手段はありません。つまり、納品された食材のヒスタミン量でアレルギー様食中毒の発生の有無が決まってしまうのです。したがって、使用する食材、納入業者を選定することがとても大切なことがお分かりいただけるでしょう。

 学校給食の場合は、物資選定委員会がフードチェーン全体を見渡して、衛生管理がしっかりした納入業者を選定し、より危害の少ない食材か、調理施設で確実に危害を防止できる食材を供給することに努めることが肝心です。
参考文献:「鮮魚のヒスタミンによるアレルギー様食中毒に関する研究」
(平成12年度福岡市保健環境研究所)
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