スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「散発型集中発生」食中毒は広域連携で拡大防止を

104 2005年9月18日
「散発型集中発生」食中毒は広域連携で拡大防止を
 生産過程の長い冷凍品や加工食品が、製造、流通過程で食中毒菌や経口伝染病で汚染されて発生する食中毒事件は、喫食場所や喫食時間がバラバラとなり、患者の発症も散発的になります。散発的な発症は、原因の推定が難しく、同一の食中毒と気づかないことがあります。こういう食中毒事件発生のことを「散発型の集中発生」(diffuse outbreak)といい、対処には困難を要します。今回はこの「散発型の集中発生」について、私の経験を交えてお話しましょう。

 以前の拙稿健康被害が恐いカキの産地偽装」でも書きましたが、2001年生ガキ由来の赤痢が散発的に全国的に発生しました。疑問を持った三重県が全国に調査依頼をかけましたが、カキの採取海域の表示は特定の地域のものではありませんでした。しかし、その頃、韓国で1000人規模の疫痢(赤痢)が発生していることを知り、ネットに情報を流しました。厚生労働省も疑問を持っていたようで、山口県の業者の保存していたカキを徹底的に検査を行ってそのカキから赤痢菌が検出され、DNAも韓国で発生している赤痢と一致し、輸入した韓国カキの産地を偽装表示して販売していたことも分かったのです。このケースはまさに、「散発型の集中発生」の好例です。

 99年、私が博多保健所の衛生課に在籍していたときのことです。ある日、予防課の保健師がやってきて、「最近、海外渡航歴のない市内の2家族数人の子どもが赤痢が発症している。それも、日本では少ない東南アジアに多いflexneriのよう。そして症状は重く、重篤な子供もいる。さらに、北九州や福岡県の管轄の保健所にも同様な赤痢が発生しており食中毒かもしれない」というのです。

 調査をしてみると、赤痢患者の共通食が私の管轄の食材の宅配業者が販売した冷凍の生食用貝柱とわかりました。さっそく、宅配業者に連絡を取りました。当該品の貝柱を配達したリストは分かっていますので、「喫食しないで返品すること。下痢などの異常があったら届けるように」とお願いし、何とか被害の拡大防止に努めることができました。「散発型の集中発生」食中毒では、まず被害の拡大防止策を速やかに実施することが重要です。

 しかし、これだけでは終わりませんでした。管内のある寿司屋さんで食べた人からも同じ菌が検出されたのです。調べてみると、そのお寿司屋さんも冷凍の生食用貝柱を使用しており、先の宅配業者と同じ業者から仕入れており、同じ輸入冷凍食品の貝柱でした。

 当該食品の流通経路に関連した福岡市、福岡県、東京都、広島県等で輸入冷凍生食用貝柱の検査が実施されましたが赤痢菌は検出されず、結局感染源を特定することはできませんでした。そのため、すでに輸入されている冷凍の生食用貝柱は、加熱用と変更することで処理されました。

 日本では細菌検査結果を重視していますが、疫学的な調査となると手薄感が否めません。もっと、疫学調査を進めて、結果を検討する必要があるのではないでしょうか。

 製造、流通を原因とする食中毒は、全国的な広がりで発生し、「散発型の集中発生」となる傾向があるので、行政も管内だけに限定的に発生する食中毒事件と同じ対応では解決できません。食品衛生、農畜水産の担当部局、自治体間の連携と情報交換が必須となり、広域的な疫学調査の実施が不可欠となります。散発型事例こそ早めに拡大防止を図らないと社会問題となるような大きな食中毒事件に発展することがあります。ここでも、「農場から食卓まで」というフードシステム全体で食の安全を考えることが重要です
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

consalmasa

Author:consalmasa
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。