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食糧輸出国の技術者はHACCP知識習得に高い意欲

161 2008年2月3日
食糧輸出国の技術者はHACCP知識習得に高い意欲
 昨年末、国際協力事業団(JICA)の発展途上国技術者に向けて行ったセミナーで、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)についての講義を行いました。HACCPの研修はたいてい、12手順、7原則といったCCP (Critical Control Points:必須管理点)を設計する講義とするのが一般的ですが、研修生の国ではHACCPやGAP(農業適正規範)はかなり普及しており、知識は持っているようでしたので、HACCPの普及に役立つよう、日本のHACCPの状況や食中毒事例を交えて、HACCPの土台となる一般衛生管理、さらにその一般衛生管理をきちんと実行するための基本的なシステムである食品衛生7Sについて話しました。トヨタ自動車さんの改善運動や5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は有名ですので、5Sに洗浄・殺菌を加えた食品衛生7Sはよく理解されたようです。

 研修生はアフガニスタン、アルバニア、アルゼンチン、ベリーズ、チリ、エクアドル、ケニア、セネガル、スリランカ、マケドニアの10カ国から来ており、職業は、畜産局、衛生研究所、研究員、食品安全局副局長、規格協会の認証審査専門官、食品局リスク評価官といった専門性が高い職種の人たちでした。いずれその国の食品衛生の責任者となり、国を背負っていく人達です。

 研修の初日にジョブレポート発表会があり、研修生から自国の所属組織の業務内容や食品保健行政の状況や課題についての発表がありました。この研修で学びたい項目として、HACCPや食品衛生に関する知識という項目が多かったのが特徴です。研修生の国は食料輸出国で、米国やEU諸国向けの工場や農園は、輸入国側の要請でHACCPやGAPが既に導入され、輸出先は製造物責任法(PL法)の厳しい国でもあり、それらは厳格に行なわれていますが、さらに知識を深めて仕事に生かしたいということだったのでしょう。

 日本ではHACCPを「箱物」と思っている人が多く、お金が掛かるシステムに映っているようです。HACCPを採用した企業もハードにお金をかけて安心し、ルールを守る「しつけ」と知識を学ぶ「教育」というソフト面が不足しています。HACCPを一部の人だけが理解し、ルールが形骸化しているのです。全員参加型にはなってはいません。

 私の保健所時代に始まった厚生労働省所管の「総合衛生管理製造過程」(丸総)においては当時、食品衛生監視員がHACCPの研修を受けて「指定監視員」という資格で審査を行なっていました。食品衛生監視員は製造現場の経験がなく、HACCP認定工場での研修でもハードに目を奪われて、基準の達成を設備・器具などに頼る傾向が強く、認証のハードルも高く設定してました。企業もHACCP認証という看板を掲げることに熱心でしたが、いったん看板を得ると安心してしまい、工場の一部の人にしか理解されないシステムとなってしまいました。さらにHACCP認定の大手乳業工場の大きな食中毒事件が起こったことで、食品企業も行政もHACCPに関心を失ってしまったかのようです。

 研修生の国は食糧輸出国のため、米国やEUのPL法という厳しい現実に直面していますので、HACCPは日本と違ってかえって機能しているのではないでしょうか。海外研修で中国やタイの食品工場を見学した際にも、貿易関係でHACCPは必須のシステムとなっていると実感しました。

 一方、国内でも生協、大手スーパーと取引のある食品企業は、衛生管理がしっかりしています。川下(消費者に近い方)が川上(生産者)を指導することで衛生管理は進歩してきています。昨年の一連の偽装表示事件を起したほとんどの企業は、おみやげとして直接消費者に販売している企業で、川下からの規制というか圧力が無いために、コンプライアンスに問題が生じたとも考えられ

 これからは「見える食品衛生」が必要です。保存試験などのデータや見た目の綺麗さ、微生物的清潔について「見える化」を図ることが信頼を得る近道です。また、「見える化」は現場で作業している人にも理解が容易ですし、現場が動かないと達成できません。現場力は、求められることで鍛えられます。整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・しつけ・清潔の食品衛生7Sは、一般衛生管理を徹底させるには最適で、整理、整頓ができて、しつけがしっかりできている企業は、工場に足を一歩踏み入れただけで分かります。食品衛生7Sは消費者の信頼に答えられるためのシステムなのです。

 研修生には、国に帰ってHACCPを使って自国の食品衛生水準の向上を図ることと、食糧の輸出振興を図るという大きな目標があります。グローバルスタンダードであるHACCPは食品輸出国にとって重要なツールです。そのツールを現場にも分かりやすく、目に見える効果で、改善運動を取り入れた現場力を向上させることができる食品衛生7SはHACCP普及に効果があると思います。
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