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サルモネラ属食中毒も減少したのだが……


151 2007年9月2日
サルモネラ属食中毒も減少したのだが……
 前回は、「なぜ、腸炎ビブリオ食中毒は減少したのか?」について書き、リスクコミニケーションと発生源対策が、いかに効果があるかを改めて認識しました。このところ、腸炎ビブリオと同様にサルモネラ属食中毒も減少しています。今回は、このサルモネラ属食中毒がなぜ減少したのかについて書いてみます。

 食中毒事件数全体とそのうちのサルモネラ属食中毒の割合の推移を見ると、1999年は食中毒全体の31.4%の825件、03年は22.1%の350件、06年は8.3%の124件と、減少傾向にあります。99年頃多発したのは、サルモネラ・エンテリティデス菌で、主な汚染源は鶏卵と推定されています。

 この菌による食中毒は私の仕事の原点とも言えるもので、現役の97年頃、集中的に担当地域で多発し、その対策として、管内の営業者にファクスで食中毒予防情報を発信しました。同時に個人的にホームページを立ち上げ、メールマガジンを発行しました。大変喜ばれるとともに、効果を上げて管内の食中毒は激減、効果的なリスクコミニケーションが有効なことを実感しました。食材や調理方法などのリスクとその予防策を知り、それを実行すれば食中毒は防ぐことができます。人間は危ないと分かれば、それから効果的に避けることができるものなのです。

 発生源の養鶏場やGPセンターについては、04年に京都で起こった鳥インフルエンザ事件やそれに派生した鶏卵賞味期限偽装事件がきっかけとなり、養鶏場の衛生管理が重視されるようになりました。鳥インフルエンザの発生予防として、野鳥やソ属昆虫の侵入防止や鶏舎の清掃、消毒、餌の管理などの適正農業基準(Good Agricultural Practices;GAP)の認証が普及したのです。

 サルモネラ・エンテリティデス菌は輸入ヒナから感染が広がったと言われています。親鳥からヒナ、その卵の汚染と母子感染で広がっていますので、その感染ルートを遮断することが大切です。そのためにはサルモネラに感染していない親鳥を選んでヒナを仕立てることと、GAPによる鶏舎の環境整備や加熱飼料を使用することで飼料からの感染を防ぐなど養鶏場やGPセンターの衛生管理が進歩しました。これで、サルモネラ・エンテリティデス菌による卵の汚染が減り、サルモネラ属食中毒の減少につながったものと思います。

 しかし、油断は禁物です。鶏卵の特性上、9月、10月とリスクは高まります。養鶏場は需要期の12月に向けてヒナ鶏を仕立てるため、初ヒナが卵を産み始める7月から生産量が増えますが、夏は消費が落ち込むので、どうしても夏場は鶏卵がだぶつきます。

 鶏(特に赤玉鶏)は、梅雨時から9月までは非常に蒸し暑い時期、人間同様に鶏が夏バテして飼料(エサ)を食べる量が減り、水を多く摂取します。そのため濃厚卵白(白身でもプルンとしている部分)の比率が減って、水様卵白が増えます。卵白(特に濃厚卵白)は非常に優れた性質を持ち、リゾチームという酵素で雑菌を死滅させる能力を持っています。この濃厚卵白が減ると鶏卵自体の鮮度(ハウユニット)が急激に落ちて雑菌に対する抵抗が減り、食中毒菌の侵入や腐敗につながるのです。

 卵がだぶつく夏期に長期間保存された卵が9月、10月に出回り、インエッグ(卵の中にサルモネラ・エンテリティデスが入る)が混じると危険です。その様な卵は生食はもちろんのこと、菌量が多いため、手指や卵料理に使った調理器具、冷蔵庫などからの2次汚染の可能性も非常に高くなります。

 鶏卵は鮮度が非常に大切ですので、賞味期限を良く確認するとともに、信用のおける仕入れ業者を選び、できれば養鶏場もチェックしましょう。さらに仕入れ時に卵を割って白味の状態を検査するようにしましょう。

 以前、「サルモネラ食中毒死亡事件発生で見直したいリスク評価」においても書きましたが、サルモネラ食中毒は重篤になって亡くなる方がいます。非常に危険な菌であるにもかかわらず、リスク評価が十分ではないことが問題です。

 また、サルモネラ属はチフス、パラチフスの仲間でエンテリティデス、ネズミチフス菌やサルモネラ・オラニエンブルグと種類が多く、ヒトや動物の腸管内に生息します。生息動物が多岐にわたりますので、発生源も異なります。

 99年にはイカの乾燥品によるサルモネラ・オラニエンブルグ食中毒が全国で散発的に発生しました。原因はイカの糞からの汚染でした。また、米国では中国産の原料を使ったスナック菓子がサルモネラ・ワンズワースに汚染され、自主回収されていることが米国食品医薬局(FDA)の調査で分かりました。米国疾病対策センター(CDC)によると、18州57人のサルモネラ感染症が報告されています(「月刊HACCP」2007年8月号参照)。サルモネラ属食中毒は、このように鶏卵だけでなく、さまざまな食材について注意が必要なのです。

 サルモネラ属食中毒の場合、調理従事者の手指から食品の汚染が広がったケースも多く見られます。サルモネラ菌はいったん感染すると人の腸管にすみつき、なかには症状がなくて保菌している健康保菌者がいますので、定期的な検便も必要です。それと、腸管に生息していても汚染ルートは手指ですから、始業時の健康チェックと手洗いが重要になります。特にトイレの後と始業前の手洗いを石けんでしっかり行なってください。
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