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鶏の生食用の表示でカンピロバクター食中毒防止が実現する

167 2008年5月4日
鶏の生食用の表示でカンピロバクター食中毒防止が実現する
 厚生労働省の食中毒発生状況の統計によると、2006年の1年間で、食中毒は1491件(3万9026人 死者6人)と報告されました。これは、全国各地の保健所が調査し、医師が食中毒だと診断した人を報告した数です。食中毒になっていても届けなかったり、感染原因が不明で医師の判断がつかなかったりする人がいるため、実際は統計の数十倍の人が食中毒菌やウイルスに感染し、食中毒症状を起しているだろうと言われています。実際のところ、食中毒の実態はどうなのでしょうか。今回は食中毒の最近の傾向などについてまとめます。

 食中毒の1491件に対して、多くの消費者が心配する化学物質による食中毒は15件(172人)です。ただし、ほとんどがアレルギー様食中毒で、原因物質はヒスタミンという化学物資。ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれているアミノ酸のヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌の作用で生成されます。したがって、この食中毒は細菌性食中毒と同じと考え、防止対策の面からは、微生物由来であることを特に意識すべきです。数少ない食品添加物や農薬による食中毒は、誤飲や犯罪がらみです。

 一般消費者にあまり知られてない食中毒菌としては、最近カンピロバクター菌が問題となっています。2006年の食中毒発生件数は416件(2297人)と食中毒件数の27.9%を占めました。カンピロバクター菌はさまざまな動物の腸管内に広く生息し、これら保菌動物が感染源となっています。特に鶏の保菌率は高く、食中毒の原因が判明したもののは多くは鶏料理によるもので、鶏の刺し身やタタキ、レバーなど、生の喫食で発症しています。汚染は、鶏を解体する食鳥処理場での「脱羽」や「内臓摘出」の工程で、鶏の腸管内に広く生息するカンピロバクター菌が肉の部分に付着することで起こると考えられています。このほか、鶏刺しや牛刺しから2次汚染を受けて感染した野菜などの例や、バーベキューや焼き肉の加熱不足、簡易水道などのよる消毒の不備による水系感染もあります。

 市販の鶏肉の50%以上がこの菌に汚染されていたという報告もあり、侮れません。発生件数がこのように多いのは、鶏肉の汚染が現在も進行中であることを示しています。私は、日本でリスクの一番高い食品は鶏肉、特に鶏の刺し身やタタキだと思っています。

 食中毒の発生を減少させるには、食中毒菌などの病原微生物が付いたり、増殖する個所を見つけて改善するという工程管理が効果があります。01年、食品衛生法の「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格」が改正になり、「加工に当たっては、飲用に適する水を使用すること、ただし、海水を使用する場合は、殺菌海水または人工海水を使用すること」と決まりました。漁港は多くの船が魚を積んで集まりますので、腸炎ビブリオ菌など、魚介類に関係する微生物を海水と一緒に運んできます。したがって漁港近辺の海水には、腸炎ビブリオが多く生息していると推測されます。

 改正以前はその海水を汲み上げて、魚体やトロ箱、器具を洗浄していたのです。そこでは、もしかしたら洗浄でなく、腸炎ビブリオ菌を付けていたのかもしれません。特に、木製のトロ箱は繰り返し、使用し保水性があることから、腸炎ビブリオ菌の増殖場所になる可能性があります。改正以降、腸炎ビブリオ菌による食中毒の発生件数を減少させることができました。

 また、サルモネラ属菌による食中毒の発生件数も減少しました。98年には757件、99年には825件と多発していましたが、06年は124件と激減しています。賞味期限表示や低温流通の普及、養鶏場やGPセンターの衛生管理が改善したものでしょう。ある雑誌に「採卵用の雛の親鳥を完全にサルモネラ汚染してない鶏にしている」とあった記事を見て、98年にサルモネラ食中毒が多発した原因が、輸入雛にサルモネラ汚染があったことを思い出しました。親鶏から雛鶏へと垂直感染で広がったサルモネラ食中毒を「元から絶つ」種鶏のサルモネラ菌の根絶という方法により、以前は多かったサルモネラ食中毒の減少を実現させたのでないでしょうか。

 カンピロバクター菌とサルモネラ属菌の2つの菌による食中毒対策のように、生産から加工、流通、販売、消費の格段階で菌が付着したり増殖する危害を発生する所を見つけ、集中的に管理する工程管理が非常に有効です。食品を検査しただけでは食中毒などの危害は防げません。行政が鶏肉の検査をして、汚染率が50%以上と報告してもこの食中毒はいっこうに減ってはいないのです。危険な箇所を見つけるためには、簡易検査でもよいので現場でふき取り検査を行い、目に見えない病原微生物を「見える化」し現場を改善することが有効です。

 先に書いたように、カンピロバクター菌の生息場所、鶏肉の汚染工程、増殖工程も分かっています。どうすれば鶏肉の汚染が減らすことができるかも分かっています。食鳥処理場において、「脱羽」「内臓摘出」「冷却」の衛生管理をしっかりすることです。そのためには食鳥処理場で効果的なGAP
(適正農業規範)を確立し、実行するのみです。

 それと、中国で輸出食品に採用している「CIQマーク」のように、行政か第3者機関が厳しく審査して、安全な鶏肉であると認定した結果を表示して、消費者が判断できるようにすることも重要ではないでしょうか。せめて、生食用はその表示の付いた鶏肉にして欲しいと思います。カキも生食用か加熱用という表示で明示しています。安全な処理を行なっている食鳥処理場はありますが、飲食店や家庭における生食用の食中毒防止は限界があるのではないでしょうか。

 日本はおかしな国です。許されるわけではありませんが、健康被害の生じない食品表示問題を連日報道して大騒ぎするくせに、健康被害が頻発しているリスクが高い食品が野放し状態です。

 カンピロバクター菌食中毒は5月、6月にピークを迎えます。汚染されていたら消費期限内でも食中毒に感染し、まれに合併症として敗血症、菌欠症、髄膜炎などのほか、まれにギラン・バレー症候群やミラー・フィッシャ症候群を起こすことがあります。カンピロバクター菌食中毒は、乳幼児や若年層の発症率が高い傾向にあり、これからのシーズン、特に子供や病弱な人に対して、鶏や食肉類の生食は控えるよう、対策を立てていくべきです。
参考:「食中毒予防必携」第2版 社団法人日本食品衛生協会
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