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福岡で発生した赤痢食中毒について考える

177 2008年10月5日
福岡で発生した赤痢食中毒について考える
 8月25日、福岡市博多区の有名日本料理店Nで赤痢菌による集団食中毒が発生したと新聞に出ました。その有名日本料理店Nは、以前私が(社)福岡市食品衛生協会に勤めていた時、依頼を受けて定期的にふき取り検査で訪問していましたので衛生管理はしっかりしていることを知っていました。何故かなと思い担当保健所の係長に聞いてみました。「現在、食材から菌が出たわけではないので確定的なことは言えませんが、生食用の魚介類が疑わしい」とのことでした。その後、福岡市で続けて2件赤痢菌による集団食中毒が発生し、食材の疑いが強まりました。
8月28日に厚生労働省は、福岡で赤痢菌による食中毒が数件発生した件で、3件の食中毒の共通食材がベトナムのEASTERN SEA社が輸出した冷凍イカということで、ベトナムEASTERN SEA社.に対し、輸入食品に対する検査命令を出しました。つまり、EASTERN SEA社の冷凍イカが赤痢菌食中毒の原因食ということです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/08/h0828-3.html

8月31日から9月4日の日程で食品安全ネットワーク主催のベトナム・ホーチミンISO/HACCP研修に行きましたので現地で少し調べてきました。
今回、冷凍倉庫やベトナムの缶詰工場を案内していただいた現地バイヤーのSEAKING社の生見昌宏さんにベトナムの水産工場の様子を聞いてみました。「福岡の赤痢食中毒事件については大変心配しています。イースタン・シー社とは取引はありません。イースタン・シー社はベトナムのブンタオ地区にあり、ブンタオは魚介類の水揚げ港があり、韓国、台湾資本がたくさん進出しています。その地区の食品衛生の水準は高いとは言えず労働争議も発生して、品質がよくないので当社は今年の2月からブンタオ地区の工場の取引を止めてカラ地区の工場に変えています。」
生食用の食材だけに、現地のバイヤーさんが目を光らして、クレームの発生や噂等で事前にアンテナで探知して問題を起す可能性のある企業を見つけ排除することは食品事故を防ぐためには大事なことです。労使間に問題があるとミスが起こる可能性が高くなるということです。安全な食品を確保するには、しっかりした企業を選別する事が大事です。

赤痢菌による食中毒は珍しいのですが、私が現役の食品衛生監視員の時、食中毒疑いの事件を経験しました。
1999年11月~2000年1月にかけて福岡県で海外渡航歴のない子供の赤痢感染が4例発生しました。3事例からShigella flexneri2a が検出され、赤痢菌株の詳細な解析でそれぞれの菌種で同一のパターンを認めました。この菌は南方系で日本の発症例は少ないそうです。
喫食調査では共通食として輸入生食用冷凍タイラギの貝柱がありました。この食材が疑われ、参考品として収去された冷凍タイラギの貝柱224検体(このうち福岡県実施100検体)について検査を行いました。同時期に当該品が保管されていた東京都、広島県等においても検査が行われました。その結果はすべて陰性でしたので、食中毒とは確定しませんでした。

その事件の記録を見ていたら疑わしい食材の生食用冷凍タイラギの貝柱は、生見昌宏さんの言っていたベトナムのブンタオ地区の工場でした。当時、輸入業者から工程図を基に説明を受けました。工程図の最後に消毒槽とありましたので質問すると、業者は、次亜塩素酸ソーダで消毒しているから安全ですと答えていました。しかし、私は、逆に消毒槽に問題があったのではないかと思っていました。食材から赤痢が検出されなかったことや輸入数量に比べ患者数が少なかったのは、次亜塩素酸ソーダの使用方法のミスで説明がつくのではないかと思っていました。

今回の生食用冷凍イカによる赤痢食中毒事件について、イカが汚染した原因なりを私なりに推測してみました。今回の赤痢食中毒事件では、同社から輸入した量はかなりあったはずで、その割に赤痢の発症数が少なく、福岡に集中していました。輸入したイカが全て汚染していたわけでなく、ごく1部の生食用冷凍イカに赤痢汚染があったものと推定されます。
工程中の問題としては食材の洗浄・殺菌工程のミスが考えられます。生食用イカの消毒に次亜塩素酸ソーダを使っていたとすると食材の洗浄不足や多くの食材を消毒したため、次亜塩素酸ソーダの効力が低下していて、一部赤痢菌が生残したのではないでしょうか。

次亜塩素酸ソーダは水中でHCIO 次亜塩素酸イオンで存在し有機物や細菌と結びついて菌を殺し、そしてHCIOは減少していきます。pHが高かったり(pH5が最適)、洗浄不足で汚れが多かったり、消毒する食材が多いと次亜塩素酸ソーダの効力が次第に低下してきますので、取り替えるか補充する必要があります。また、最初から濃度が高いと臭気が残り商品にはなりませんので、低めにする傾向があり、そのため正確に希釈する必要があります。消毒作業の最後まで、次亜塩素酸ソーダの濃度のチェックが必要です。さらに、消毒作業の最後の食材の細菌検査を行い、きちんと消毒されているかを検証します。食材毎に次亜塩素酸ソーダの使用方法を細菌検査の結果から決めていくことも必要です。

赤痢菌の侵入経路の可能性としては、従事者からが高いでしょう。工場の衛生管理が十分できてない場合生食用食材を汚染する可能性があります。従事者の毎日の健康調査で、下痢等の体調異常がある人の報告がされていたか、体調異常者を食品に触れさせないルールになっているのか。そのルールがきちんと実行されているか。次に菌の侵入を防ぐ手段としては手洗いです。手洗いの必要性を全員が理解しているか、手洗いマニュアルはあるか、手洗いはマニュアル通り実行されているか、従業員が作業開始時に同時に使用するのに十分な数があるか、手洗いが正しく行われているかのチェックと検証は行われているかが重要です。

以上のように作業手順書を作成するだけでなく、決められたことが決められた通りに実行できているかをチェックし検証しより良い方法に改善することが安全な食品をつくるために必要です。この事は海外の工場だけでなく国内の工場も同じです。

寿司ネタなど生食用魚介類を加工する工場がアジア諸国にたくさんあります。これらの国は食文化として魚介類の生食はありませんので、1から教えていく必要があり、教育・訓練が大切になります。生見昌宏さんのお話しでは、スーパーマーケット等のバイヤーは価格の要求が厳しく、衛生管理のしっかりした工場の品質の良い食材は価格が折り合わず寿司ブームの欧米に行く傾向があります。安全な品質の良い食材を求めるには、企業を選ぶことです。生食用だけに
低価格を求めすぎると、今回のような病原微生物に汚染された食材を輸入することになり健康被害を起すことになります。
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