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食の安全確保には危害分析思考が有効です

183 2009年1月4日
 食の安全確保には危害分析思考が有効です
 先日、野田聖子消費者行政担当相を交えて「食の不安」をテーマに議論しているテレビ番組を見ました。野田大臣は、輸入食品の安全を確保するためには、食品検疫での食品検査を増やし、そのためには検疫所の食品衛生監視員を増員する必要があると、ほかのコメンテーターと共に口をそろえて強調していました。増員の必要性はともかく、検疫所で病原性微生物、農薬、動物性医薬品など1000近くの危害物質の検査するのは不可能で、食品の種類、輸入量を考えると、安全性をすべて検疫所の検査に委ねるには限界があります。検査を増やせば安全と思わせることをテレビで話すことはピントがずれている以上に、消費者に与える悪影響は図り知れません。

 1960年代、米国航空宇宙局(NASA)はアポロ計画において、宇宙飛行士たちの食べる食品の安全性を確認するためにはどうすべきかを検討しました。できあがった製品の抜き取り検査では、検査していない項目や他のロットの製品については、安全を保証できないという限界があります。こうして、製品検査という製造の最終地点で判断するのでなく、すべての製造工程で危害発生の可能性を考える危害分析(Hazard Analysis)を行い、重要な管理点(Critical Control Points)をあらかじめ決めておくという衛生管理手法のHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)ができました。

 中国のギョーザ事件で混入されたメタミドホスは、メタミドホスの濃度ムラがあること、日本では使ってない農薬であること----。以上の3点から原材料の野菜に残留して混入したのではなく、製品の包装前後に人為的に混入されことが容易に推測できました。人為的に混入されことが推測できれば、包装作業や包装後の製品管理、従事者の管理などの再発防止策がとれます。日本に輸出している中国の食品企業はHACCPを採用しているため、危害分析の思考を持ち、再発防止策にも応用でき、すぐに対策を取ることができると思われます。実際は政治的な問題もあり、事件自体の完全解決には至っていませんが、HACCPの思想が重要だと、私たちにあらためての認識をうながしました。

 一方で、日本の食品企業の多くは危害分析の思考がありません。先日、福岡県の菓子メーカーMの和菓子から殺虫剤の成分が「フェニトロチオン」が基準値の7000倍の濃度で検出されました。製品は工場内の冷蔵庫で保管していましたが、この工場の冷蔵庫は常時無施錠だったことが分かりました。その後社員が混入したと判明した。つまり、中国のギョーザ事件の教訓を生かさず、危害分析の思考のなさが露呈したのです。

 メラミンの事件は日本では想像も付かない事件でしたので検疫所の検査では防ぐことはできなかったでしょう。危害分析では他社の事例を生かす事が大事で、早い段階で情報を得ていれば、同様の事件を予防できます。
メラミンについては、海外では、その1年前から中国製のペットフードや粉ミルクにメラミンが混入されていたことがネットに載っていました。厚生労働省が当時、すぐに中国側に事件の概要を確認し、中国関連の商社や輸入が業者に情報を流しておけば、中国の日本向けの加工食品の工場は製品にメラミン混入を防ぐため、問題企業の製品は使用させない、使用する原材料のメラミンの検査を行うなどの予防処置を行う事ができたはずです。ところが実際は、輸入された製品を輸入者や使用業者が検査して、メラミンを確認、回収や発表といったことに莫大なコストがかかり、社会的信用にキズがついてしまいました。

 以上述べたように、食品の安全確保は、製品の検査という結果で判断するのでなく、危害を予測して、工程管理を行ない、第3者が分かるような記録をとるといったシステムであるHACCPが有効なのです。HACCPやさらに発
展したISO22000は、貿易上の安全を確保する基本システムでもあります。米国、カナダ、EUなどへの加工食品の輸出は、HACCPが義務付けられています。マスコミはほとんど報道しませんが、中国でもこのルールで日本向けの加工食品の輸出を行っています。この点を見る限りは、日本が輸入している中国製食品は安全といえるのです


 私は国際協力事業団(JICA)で、発展途上国技術者に向けて、HACCPについての講義を行っています。昨年は、講義に参加したすべての国がHACCPを採用していました。これらの国は食品の輸出が大きな産業なので、欧米に輸出するために必須のHACCPを採用しているのです。これは当然のことでしょう。一方、日本でのHACCPの普及率は非常に低く、2006年農林水産省食品産業動向調査によるとHACCP導入企業は10%程度(回答数 1682社)でした。これは、日本の多くの食品製造業の製品は、欧米や中国には輸出できないことを意味します。

 では、これからの食の安全確保はどうあるべきでしょうか。日本では日本版HACCPの総合衛生製造過程を取得した大手乳業メーカーが大規模な食中毒を起こして以来、HACCPが評価されなくなってしまいました。日本でのHACCP認証は設備にお金がかかりますし、国内販売のみであれば HACCP認証を取得するメリットが少ないのは確かです。

 とはいえこれまで述べてきたように、HACCPの危害分析の思想が大切なのです。危害分析の思想を取り入れ、消費者に信頼されるには、情報を開示して衛生管理の状況を分かりやすく説明する「見せる化」が重要です。「見せる化」には分かりやすく全社で取り組める「食品衛生7S」が最適です。
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