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食品衛生の標語にWHOの5 keysを採用しよう

199 2009年9月6日
食品衛生の標語にWHOの5 keysを採用しよう
食品衛生に関する標語には、食品衛生3原則(1.清潔,2.迅速,3.温度管理:冷却と加熱)と、食中毒予防の3原則(1.つけない,2.増やさない,3.殺す)があります。私は講演等では、食中毒予防の3原則を使っていましたが、「殺す」など言葉が雑で意味不明の難しい標語だと思っていました。調理場に「殺す」などの標語はふさわしくありません。「つけない」「増やさない」も何をどうしたら良いのか、いけないのかわかりません。現場の標語は行動指針を示すもので、理屈を知らなくても行動できる物が良いのではないでしょうか。

現役の時、実際に食中毒事件を調査して原因なり要因を見ていく「食中毒予防の3原則」は何かが不足していると感じていました。何が足りないかと言うと食材由来の食中毒には対応していないのです。日本は生食文化があり、また食品加工や分業が発達して、料理を提供する側に菌を殺す手段が無い食材が多いのです。魚介類は真水で洗う事で腸炎ビブリオ菌を殺したり、減らすことはできます。しかし、食肉、鶏肉、カキの生食類は飲食店では殺す手段を持ちません。切って出すだけです。加工済みの食材もそのまま喫食します。食中毒を予防する事が出来ない「食中毒予防の3原則」では意味がありません。そのうえ責任は提供した側だけで、生産者にはペナルティはありません。

平成9年、10年のサルモネラ・エンテリティデス食中毒事件は真の原因は鶏卵で、汚染が進んだ古い卵(当時は鶏卵には賞味期限表示はない)を仕入れ、十分加熱しないで使用したのが原因です。卵料理やケーキ・菓子類は卵とじやティラミスのように十分加熱出来ない料理もあります。生食文化で育った料理なのです。「食中毒予防の3原則」の何が不足しているのか、それは、リスクを知ること、どの食材がリスクが高いか、どういう行為にリスクがあるか、どうしたら防げるかの情報を知らせて、リスクを減らす方法が伝わってなかったことです。
私がホームページやメールマガジンを書こうと思ったのは、過去の食中毒事例から学んだリスクと予防法を知ってもらうことが食中毒予防では一番大切だと思ったからです。リスクを知り安全な食材を選ぶことです。「食中毒予防の3原則」をも持っても前号で書きました。市販鶏生肉は60~70%がカンピロバクター菌に汚染されていますので、安全な鶏生肉を選ばないとかなりの確率でカンピロバクター菌食中毒を起します。予防の決めては食材を選ぶ、リスクの高い生の食材を提供しない、食べないことです。

食品衛生3原則や食中毒予防の3原則は、机上の理屈で出来た標語で現場では有効ではありません。それと厚生労働省や保健所は縦割り行政で管轄の飲食店、食品製造業、食品販売業を中心に考え、ファーム トウ テーブル(農場から食卓まで)の意識が欠如しています。農林水産省管轄の農畜水産物といった生産者側に努力して貰わないと食中毒は防ぐ事ができません。

先日、大阪で開催された食品安全ネットワークのセミナーでこの三原則の話がでて、食中毒防止3原則は,食品衛生3原則の中の一部分であり、食品衛生3原則の中には、食中毒予防以外にももっと多くの項目が含まれています。食品衛生3原則がまず根本にあるべきで,それを前面に押し出すべきなのです。その中の技術的一側面が食中毒防止3原則と考えるべきなのです。
WHOが2006年に発表した"Five Keys to Safer Food Manual"があります。
ここでいう5 keysは.次の通りです。

1.清潔に保つ(Keep clean)
2. 生の食品と加熱済みの食品を分ける(Separate raw and cooked)
3.よく加熱する(Cook thoroughly)
4.安全な温度に保つ(Keep food at safe temperatures)
5.安全な水と原材料を使う(Use safe water and raw materials)

この5 keysは,食中毒防止3原則と食品衛生3原則の両方をカバーすることができてなおかつひとつの標語としてまとめることができます。
5 keysと食品衛生3原則や食中毒予防の3原則と比較してみます。
1「清潔に保つ」は食品衛生3原則の清潔と同じで、食品安全ネッワークが提唱している「食品衛生7S」は清潔を具体的に行う手法です。「Keep clean」は基本です。
2 「生の食品と加熱済みの食品を分ける」は「つけない」に相当します。この項目が原因の食中毒はよく発生します。日本では売っている食材はそのままでも清潔と思っている人が多く、野菜、魚介類、食肉には固有の病原微生物が付いていて、加熱調理して始めて安全になることに気づかない人が多いのです。例えばまな板の使い分けを肉用、魚用としていて、生の食材と加熱済みの食品を分けてない所が多くあります。料理番組でも生の食材を切って加熱し、同じまな板で加熱済食品を切っている場面が多くあります。「つけない」より具体的に「生の食品と加熱済みの食品を分ける」と書いた方が的確です。
3「よく加熱する」は「殺す」に相当するわけですが、言葉がやわらかく、的確です。
4「安全な温度に保つ」は「温度管理:冷却と加熱」や食中毒予防の3原則の「増やさない」に相当します。3原則では、どうすれば良いのか、消費者や調理人にはわかり難いのではないでしょうか。
5「安全な水と原材料を使う」は日本の3原則には欠如しています。日本では多くの人が水や食材は安全だと思い込んでいます。リスクのない食品添加物や残留農薬を注意している人はいますが、病原微生物のリスクは無頓着な人が多いようです。
過去の大きな食中毒事件も原材料に起因したケースが多くあります。日本の最初の病原性大腸菌O157事件はしらさぎ幼稚園の井戸水でした。平成1996年の堺市の病原性大腸菌O157事件は、各小学校で自校調理の給食で、多数の小学校で同時に発生していますので、共通食材の未加熱食品だろうと私は推定していました。また、アメリカ合衆国でも水耕植物で同様の事件が起こっている。裁判では証拠が不十分で〇〇農園の「カイワレ」が原因とはなりませんでしたが、私が推定では食材の「カイワレ」と考えています。
また、雪印の食中毒事件は、北海道の系列工場の脱脂粉乳製造中の停電によるもので原料由来した。加工乳を製造した工場は加熱殺菌を過信して、黄色ブドウ球菌の毒素であるエンテロトキシンの事を知らなかった事が原因です。こちらも食中毒予防の3原則では防げません。
逆に最近の腸炎ビブリオ食中毒、サルモネラ食中毒の激減は生産、流通過程の衛生対策が進み、市販の魚介類や鶏卵の病原性細菌が減少したことが良い影響をでています。

以上の様にWHOの発表した"Five Keys to Safer Food Manual"の方が行動指針の標語としては優れていると思います。
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