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ユッケ食中毒と放射性物質汚染

241 2011年6月5日
ユッケ食中毒と放射性物質汚染
 最近、食品安全に関する大きな事件が2つ続きました。焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」でユッケを食べて発症した腸管出血性大腸菌O111による集団食中毒は、亡くなった方が4人になりました。
 この事件についてマスコミ2社から電話取材を受けました。「食中毒の危険性が高まる夏が近づく中、これ以上の犠牲者を出さないために、どういった対策をとることが出来るのか」これに対し「生食用食肉の衛生基準を守って、生食用の表示の無い食肉をユッケやレバ刺し、鶏刺しとして提供しないことが大事です。罰則があろうが無かろうが、危険性があるから生食用食肉の衛生基準が出来ているのです。生食用と表示されるためには、と場、食肉加工場。食肉販売店、飲食店のフードチェーン全てで基準を守る必要がありますが、現在、と場から生食用の牛肉は出荷されていませんので、現状で規制を強めるなら牛肉の生食は全面禁止となります。安全な生食用牛肉のフードチェーンが完成するには時間がかかります。安全な生食用牛肉を確保するには、
と場から飲食店までHACCPを基礎としたISO2200のシステムが最適です。

 福島第一原子力発電所の事故により放出された地域の農産物、牛乳等の畜産物、水産物の放射性物質汚染が判明し、一部農産物に出荷停止処置が取られたことで、この地域の農産物を避ける動きがあります。政府は風評被害防止に躍起となり、日中韓3か国の首脳会談で取り上げ、両首脳の被災地訪問を設定し、福島産のトマトやイチゴの試食している映像を流しました。中国側は当初試食する事は、外交的に礼を欠くと渋っていたそうです。現に福島原発から依然として放射能が出ており、数種類の農産物から検出されていますので、近隣地方の農産物を避けるのは風評被害でなく実害を防ぐ行為です。風評被害を防ぐのに外国の首脳を使うなど大変失礼な話で、誤った情報発信になるかもしれません。
 中国の温家宝首相は東京電力福島第一原子力発電所事故を受け同国が取っている食品輸入の禁止措置について「12都県から山形、山梨両県を外す」と表明。放射能検査証明書も乳製品、野菜、水産物などを除く食品では不要と日本政府に伝え、簡素化する意向を示しました。輸入規制に関し、首脳宣言に盛り込まれたのは「科学的証拠に基づき必要な対応を慎重に取ることが重要」との見解を共有するとの文言です。
 「科学的証拠に基づき必要な対応を慎重に取ることが重要」との文言は中国の日本に対する皮肉が込められています。数年前の農薬入り餃子事件の後、故意に農薬を入れられた犯罪にも関わらず、マスコミは農場での農薬散布の映像を流し続け、中国産の食品は危ないとのイメージで中国産の食品をシャットアウトしています。中国は国際的な食品衛生管理システムであるHACCPで管理され、審査を行った工場の製品のみを日本に輸出して科学的根拠で安全を対応したのに、日本は中国製品は危険と言うイメージで行動しています。これこそ科学的証拠に基づかない風評被害でしょう。
 食塩でも摂りすぎると害があり、あらゆる物質は大量に摂取すれば傷害を引き起こす可能性を有します。それに対して、生物は食物とともに摂取したハザードや環境から取り込んだハザードを排出したり無毒化する能力を持っています。そのため、毒物であっても微量なら健康への影響はない。そこで「この量なら安全と言う閾値を決める線引きが必要です。これを決めるには、多くの実験が必要です。食品添加物や残留農薬の基準はこの閾値を基に決められています。
放射線による健康被害については意見が分かれています。放射性物質汚染は、今回の事故のように広く土地が汚染されると検出された農産物だけでなく、他の作物も汚染されている可能性があり、その上、飲用水もある。土壌、建物を汚染した放射性物質が発する放射線を浴びる外部被爆もあり、それらを合算した被爆量を算定しなくてはならず、発表のたびに使われた常套句の「ただちに・・・」は適切でない気がします。
放射線の間題で大きな議論となるのは閾値です。これが放射線被曝をわかりにくくしている最大の理由といってもよい。
100~200mSvを超えて被曝すると、健康被害が生じます。具体的には、100mSvごとに癌で死亡する人が0.5%増えます。これについては、専門家の間でほぼ合意ができていますが、それ以下の線量での影響については意見が対立しています。
 放射線で遺伝子(DNA)が障害されると、異常な情報が伝わり、間違った酵素が作られるなどして、突然変異や癌が生じます。放射線も、DNA障害作用を持つ化学物質と同様の作用を持つので、被曝すればしただけ、わずかであっても悪影響があると考えられています。そのため、放射線による健康被害には閾値がないと言われています。
一方、放射能汚染の安全性について、低レベルの放射線なら継続的に被曝しても健康に害はないと断言している。学者もいます。もちろん現在警戒区域に指定されている福島第一原発の20km圏内に、住民が戻っても影響はないという。現在、問題なのは、原発事故処理で高レベル放射線を浴びる可能性のある作業員だけという口振りでした。さらに驚くことに、教授は低レベルの放射線はむしろ健康に良いと言うのである。

食の安全は「安心=安全+信頼」である。信頼できる人や機関が安全を保証してくれて初めて安心できる。どちらが欠けても「安心」はない。風評被害は、「安全かもしれないけど、信頼できない」という状態で、安全を保証する政府や原子力専門家の言葉が信頼できないのである。利害に惑わされずに、危ないなら「危ない」、わからないなら「わからない」といえばよいのである。
牛肉の生食については生食用でなければ「危ない」のです。それをテレビのグルメ番組でタレントが美味しそうに食べる映像を流していました。テレビで放送しているから「安全」と思ってしまいます。この事件以前も牛肉の生食、鶏肉の生食で食中毒を起こしていました。マスコミは誤った情報を流していました。

 
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