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腸管出血性大腸菌O157は死に至ることもある

360 2016年5月15日  
腸管出血性大腸菌O157は死に至ることもある
 大腸菌は、人や家畜の腸内に存在し、ほとんどのものは無害ですが、いくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、腸管出血性大腸菌と呼ばれています。この中で、特に毒力の強いベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすものを、腸管出血性大腸菌といいます。1996年の堺市などの集団感染で有名になったO157はその代表的なものですが、そのほかに026,O111,O128など多くの種類があります。
 特徴は、非常に少ない菌数でも発症します。潜伏期間が2~9日と長い。感染力が強くわずかの菌数でも感染し、人から人へと広がります。

白菜の浅漬けによるO157食中毒について
 2012年北海道で腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生しました。130人以上が発症し8人が死亡した大規模な食中毒事件となりました。原因食は、白菜の浅漬けでした。当初、「野菜の消毒液の濃度をチェックしていなかった」と言われていましたので、感染ルートは、原材料の白菜と思ったのですが、札幌市保健所の調査で発生源となったと同じ白菜からO157感染者は当該製造者以外に見られず、これ以上の産地調査は不要と判断し、これまでの感染経路の調査で、食中毒の原因が製造者の製造、管理工程にあると断定しました。
 この事件の影響で白菜が売れなくなるという風評被害が発生しました。大規模の食中毒の場合、生産者を含む広範囲の遡り調査は、風評被害を拡大するという難しい問題があります。
 白菜の浅漬けによるO157食中毒の原因が製造者の製造、管理工程だとすると、従事者の手指や調理器具からの2次汚染が考えられます。白菜の消毒が形だけの「つもり消毒」になっていたのかもしれません。

焼き肉チェーン店でユッケを食べた客がO157食中毒
 焼き肉チェーン店で集団食中毒が発生した。提供されたユッケを食べた客が、腸管出血性大腸菌O-111やO157に感染。4人が死亡し、患者数は118人に達しています。
 私は食品衛生監視員の時は、レバ刺し、ユッケ、鳥刺しを提供しないよう指導をしてきました。最初にこの事件を伝えたワイドショーでは、「人気商品としてメニューに掲げる店も多いので、風評被害で今後の食肉消費が減るのでは」とのコメントをしていました。福島産の農産物や鶏インフルエンザの報道の影響で鶏肉を敬遠する動きは噂被害の風評被害と言えますが、今回のユッケによる食中毒事件による生食用食肉を避ける動きは実害を避けるための当然な行動です。
 風評被害とは、存在しない原因・結果による噂被害のこと。多くの例では災害事故での不適切又は誤報により、生産物の品質低下やまったく存在しない汚染などを懸念して消費が減退し、まったく原因と関係のないほかの業者・従事者が損害を受けること。災害、事故による直接の被害や顧客の危機回避のための判断や安全確認のための出荷停止は風評被害には該当しません。
 マスコミが風評被害と言うと、この店だけが危険で、他の店のユッケはリスクが無いと思われます。私は日本で流通している食べ物でレバ刺し、ユッケ、鳥刺しが一番リスクの高い食べ物だと考えています。腸管出血性大腸菌O157やO111は牛や羊の腸管内に生息しています。生食用食肉の衛生基準で定められている生食用の表示の牛肉が存在しないのは、生食用として完全に安全が確保されるには、と畜場、食肉加工場、飲食店、喫食する者にいたる衛生管理が必要で、フードチェーンで考える必要があり、そこまで安全が確保するには、ISO22000かHACCPを採用し、権威ある審査機関が審査する必要があるためです。

腸管出血性大腸菌食中毒予防ポイント
・ 腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性があります。
・ 腸管出血性大腸菌は加熱により死滅します。焼肉やバーベキュー等、自分で肉を焼きながら食べる場合も、十分加熱し、生焼けのまま食べないようにしましょう。
・ 特に、若齢者、高齢者、抵抗力が弱い方は、重症化することがありますので、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないようにしてください。
・ 野菜は新鮮なものを購入し、冷蔵庫で保管するなど保存に気をつける

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黄色ブドウ球菌の食中毒

359 2016年5月1日  
黄色ブドウ球菌の食中毒
 昔は黄色ブドウ球菌の食中毒はけっこうたくさん発生していましたが、今は少なくなりました。26年は全国で26件1277名がこの食中毒に罹っています。
この食中毒は衛生知識が広まり、清潔にして、リスクを知り、リスクを避ける対策を行えば防ぐことができます。
 黄色ブドウ球菌による食中毒は、地域の行事で起こしていました。地域の運動会とか、お祭り、災害時には炊き出しを行っていました。福岡では、「かしわのおにぎり」が定番で、手洗いの不足や常温で保存される事が多く、このかしわのおにぎりが原因となるケースが多く見られました。今はそのような行事であっても衛生管理に気を付けるようになって激減しました。しかし、油断は禁物です。黄色ブドウ球菌は身近にたくさんいる菌です。
 うどん屋、ラーメン屋のおにぎりも保管場所の温度に注意し、おにぎりの回転を考え、手袋やラップ、型抜きを使ってください。
 水仕事の人は手荒れに注意し、寝る前にクリームや馬油を塗る等のお手入れが大事です。手荒れのひどい人は、慢性的に手に住み付いている事があります。
 弁当屋やホテルで定期的に手指のふきとり検査を行っていますが、最近黄色ブドウ球菌の検出率が高くなっています。これは、ノロウイス対策として手洗いを重視してよく手洗いを行うようになったことと、手洗い用の洗剤・殺菌剤が強力になり、皮脂の外部刺激に対する防御能を司る皮脂膜を過度に除去することで手荒れが生じ、さらに皮膚が荒れている人が爪ブラシを使用することでひどくなり、そこに黄色ブドウ球菌が住みついてしまったと考えられます。またアルコールも手荒れをひどくする原因となります。
 以前は大腸菌群数が陽性の人から黄色ブドウ球菌が検出されていましたが、今は手洗いを真面目に行い、大腸菌群数陰性で手洗いが出来ている人から黄色ブドウ球菌が検出されています。手洗いの基本は手の汚れや菌を洗い流すことです。消毒に頼り過ぎてはいけません。
 対策
手にやさしい洗剤に変える メーカーに問い合わせてください。
仕事が終わったらハンドクリーム、馬油で手のお手入れをする。
柔らかい毛の爪ブラシに変えて過度にこすらない。
使用後の爪ブラシは消毒液(アルコール)に浸けておく
手指の消毒用アルコールはごく少量にする
手指のふき取り検査をする

黄色ブドウ球菌について
 黄色ブドウ球菌は、化膿したところ、おでき、水虫、にきび、のどや鼻の中、動物など私達の身近にあり、この菌が付着した手指などから食品を汚染する機会が多いため、この細菌による食中毒が発生します。この菌は、食べ物の中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素が人に危害をおよぼします。酸素のない状態でも増殖可能で、多少塩分があっても毒素をつくるため、汚染を受ければ、あらゆる食品が原因食となる可能性を持っています。

黄色ブドウ球菌による食中毒
 平成12年大阪の雪印乳業(株)の低脂肪乳による黄色ブドウ球菌食中毒事件が有名です。1万人を超える大きな食中毒事件となりました。
 エンテロトキシンという毒素は100℃30分の加熱でも分解されません。このリスクを知らずに、「もう1度加熱するから大丈夫と」脱脂粉乳製造中停電して、長時間30度~50度の温度帯に放置されエンテロトキシンが大量に生成された物を使用したのが原因です。潜伏時間は、約30分から6時間で、はき気、おう吐、腹痛が主症状です。
 油断してはいけません。ふきとり検査でこの菌の検出率が上昇しています。

(3)黄色ブドウ球菌食中毒予防ポイント
・おにぎり、サンドイッチが原因食となることが多い。
・手指などに化膿巣のある人は、食品を直接さわったり調理をしない。
・手指の洗浄消毒を十分に行うこと。
・水仕事の多い人は寝る前に馬油やハンドクリームで手入れすること。
・食品は10℃以下で保存し、菌が増えるのを防ぐこと。
・調理にあたっては、帽子やマスクを着用すること。
・包丁の柄、水道の蛇口、冷蔵庫の取手など多くの人が触れる場所を清掃、消毒しましょう。

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