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ウエルシュ菌食中毒は温度・時間管理に注意

358 2016年4月17日
ウエルシュ菌食中毒は温度・時間管理に注意
 「加熱済みの食品は絶対安心」という誤った常識がウエルシュ菌による食中毒の発生原因となっています。
 原因食品は前日またはそれ以前に加熱調理されていることが多く、大量調理された食品が原因食となる特徴があるため、学校や病院給食で起こします。この食中毒は「給食病」の異名もあります。

ウエルシュ菌による食中毒
 わが国におけるウエルシュ菌食中毒事件数は年間20~40件程度で、それほど多いものではありません。しかし、1事件あたりの患者数は95名(2014年)で、他の細菌性食中毒に比べ大規模事例の多いのが特徴です。ウエルシュ菌は、ヒトや動物の大腸内常在菌であり、下水、河川、海、耕地などの土壌に広く分布します。
食中毒の発生場所は、大量の食事を取り扱う給食施設や仕出し弁当屋、旅館、飲食店等です。主な原因食品には、カレー、スープ、肉団子、チャーシュー、野菜の煮物(特に肉の入ったもの)などです。
 原因は大量に加熱調理された後、そのまま数時間から一夜室温に放置されていることが多い。食品を大釜などで大量に加熱調理すると、食品の中心部は無酸素状態となり嫌気度が高くなります。加熱によって他の細菌が死滅してもウエルシュ菌の耐熱性の芽胞は生き残り、食品の温度が50℃~55℃以下になると発芽して急速に増殖を始めます。
加熱調理された食品中では、共存細菌の多くが死滅するが、ウエルシュ菌芽胞は生存します。加熱調理された食品の中心部は酸素の無い状態になり、嫌気性菌のウェルシュ菌にとって好ましい状態になります。ウエルシュ菌の至適発育温度は43~47℃と他の細菌よりも高く、増殖速度も速いため(分裂時間は45℃で約10分間と短い)、加熱調理食品が徐々に冷却していく間にウエルシュ菌は急速に増殖します。
 食品の中で大量に増殖したウェルシュ菌が食べ物とともに胃を通過し、小腸内で増殖して、菌が芽胞型に移行する際にエンテロトキシン(毒素)が産生され、その毒素の作用で下痢などの症状が起きます。
一度に大量の食事を調理した給食施設などで発生することから「給食病」の異名もあり、患者数の多い大規模食中毒事件を起こす特徴があります。
 最近、食中毒とは異なる感染経路で発生するウエルシュ菌集団下痢症も報告されています。高齢者福祉施設で発生する事例が多く、院内感染と認められた例もあります。これらの事例では、症状は軽度の下痢、患者発生は持続的であり、食中毒と異なり、患者発生の鋭いピークが認められないのが特徴です。
 この菌は嫌気性(酸素を好まない) の芽胞菌で、なかには芽胞が100℃4時間以上の加熱でも死滅しない菌もいます。
 潜伏時間は約4時間から12時間。腹痛、下痢が主で、特に下腹部が張ることが多く、一般に症状は軽微です。

ウエルシュ食中毒予防ポイント
・ 前日調理は避け、加熱調理したものはなるべく早く食べること。
・ 一度に大量の食品を加熱調理したときは、本菌の発育しやすい45℃前後の温度を長く保たないように注意すること。
・ やむをえず保管するときは、小分けしてから急速に冷却(15℃以下)する
・ カレーやシチュウを再加熱する場合は熱が伝わり難いため攪拌して中心部まで十分加熱すること。
・ ホテルやレストランのパーティやバイキングで使われている湯煎がウエルシュ菌にとってちょうど良い温度となることがあります。継ぎ足しをしないこと。2時間を限度に再加熱して使用すること。

ウエルシュ菌食中毒は温度・時間管理に注意
 生ものは危なくて、加熱したものは大丈夫との思いこみがありますが、食中毒菌は色々な性質を持っていて、必ずしも加熱したからよいとは言えないものもあります。黄色ブドウ球菌は熱に強いエンテロトキシンという毒素を産生しますし、ウエルシュ菌やセレウス菌は熱に強い芽胞を作り、十分に加熱された食品でも後の温度管理が悪いと、再び繁殖して食中毒を起こすことがあります。
 保健所勤務時代のある日、「N老人病院から電話で入院患者が下痢をしている。食中毒だろうか」という相談がありました。一応調査してみようということになり検便を実施したところ、全員からウエルシュ菌が検出されました。普通の食中毒ならこれで食中毒となるのですが、ウエルシュ菌は高齢者ならほとんど持っている常在菌です。そのウエルシュ菌が病原性を持っているかを調べると半数が毒素産生菌でしたので、下痢症状の病因物質はウエルシュ菌と判明しました。

 症状のある方の病棟毎の分布に差がなく、発症時間はほぼ同じ時間に集中し、単一暴露でしたので、病院給食による食中毒が疑われました。保存食を検査したところ、前日の朝食のマグロフレークのごま煮からウエルシュ菌(毒素産生菌)が検出されました。これで、原因施設と原因食が確定しました。
 食中毒を起こした原因は、マニュアルには前日調理を禁じているにもかかわらず、前日の午後3時頃から仕込みをはじめていたことにありました。しかも、回転釜に調理した大鍋を入れて冷却したのですが、回転釜の底は丸くなっているため大鍋の底部一部しか水が当たらず、中心部が冷え切らない状態で一晩放置してしまったのです。ウエルシュ菌の芽胞は、100℃4時間以上の加熱でも死滅しません。中心温度が20℃~50℃で嫌気性雰囲気の状態で芽胞が発芽して増殖型となり、増え始めます。

 一晩放置した鍋は翌朝再加熱するのですが、大鍋のため十分に熱が行き届きません。さらに、老人病院は熱い食事は食事介護があるため嫌いますので、再加熱というより暖めるという感覚です。しかも温蔵配膳車の温度も低めに設定されていて、ウエルシュ菌が死滅するまでの温度には上がっていませんでした。マニュアルには前日調理禁止や冷却の方法を書いてはいますが、現場にその意味が十分に伝わっていなかったことが、食中毒の原因です。
 同じ年に起こったウエルシュ菌食中毒は、レストランのバイキング料理の「ソーセージと鶏肉のトマトソース煮」からウエルシュ菌が検出され、原因食と確定しました。ウエルシュ菌が繁殖した原因は、バイキング型式で固形燃料加熱式の湯煎に入れ50℃程度で加熱しながら提供していたことにあります。閑散時には長時間この状態が保持されるため、ウエルシュ菌の芽胞が増殖したものと推定されました。湯煎で提供する料理は継ぎ足しを止めて新しくものと交換するか、再加熱をしてから提供することが不可欠です。
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日本で食中毒にかかる人は年に何人? カンピロバクター菌

357 2016年4月3日
日本で食中毒にかかる人は年に何人? カンピロバクター菌
 厚生労働省の統計(食中毒発生状況、速報値) によると、2014年間で、食中毒は976件(19,355人)死者2人)報告されています。
これは、全国各地の保健所が調査し、お医者さんが食中毒だと診断した人を報告した数です。食中毒になっていても届けなかったり、ノロウイルスのように診断されても人からの感染で食中毒でないと判断されたり、感染原因が不明の人いて、統計の数十倍の人が食中毒菌やウイルスに罹り食中毒症状を起しているだろう、といわれています。一方、皆様が心配している化学物質による食中毒は10件(70人)でほとんどがアレルギー様食中毒で、原因物質はヒスタミンという化学物資です。ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれているアミノ酸のヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌の作用で生成されます。したがって、この食中毒は細菌性食中毒と同じと考え、防止対策の面からは微生物由来であることを理解すべきです。数少ない食品添加物や農薬による食中毒は誤飲や犯罪がらみです。

 あまり知られてない食中毒菌にカンピロバクター菌があります。2014年の食中毒発生件数は306件(1.883人)と食中毒件数の31.4%を占めています。カンピロバクター菌は様々な動物の腸管内に広く認められ、これら保菌動物が感染源となっています。特に鶏の保菌率は高く、食中毒の原因が判明したのは多くは鶏料理で、鶏の刺身やタタキ、レバー等生の喫食で発症しています。また、野菜など鶏肉や食肉からの2次汚染を受けて感染した例やバーベキューや焼肉の加熱不足、牛さしによるもの、簡易水道などのよる消毒の不備による水系感染があります。
 市販の鶏肉の50%以上がこの菌に汚染されていたという報告もあります。発生件数が多いのは、鶏肉の汚染が現在も進行中であることを示しています。私は、日本でリスクの一番高い食品は鶏肉、特に鶏の刺身やタタキだと思っています。
カンピロバクター菌の生息場所、鶏肉の汚染工程、増殖工程もわかっています。どうすれば鶏肉の汚染が減らすことができるかもわかっています。消費者として、行政か第3者機関が厳しく審査して、安全な鶏肉であると認定しその結果を表示して、消費者が判断できるようにしてください。せめて、生食用はその表示の付いた鶏肉にしてください。安全な処理を行なっている食鳥処理場はあるはずです。生食用による食中毒防止は飲食店や家庭では限界があります。
カンピロバクター菌食中毒は5月6月にピークを迎えます。汚染されていたら消費期限内でも食中毒に感染し、まれに合併症として敗血症、菌欠症、髄膜炎などやギラン・バレー症候群やミラー・フィッシャ症候群を起こすことがあり、乳幼児や若年層の発症率が高い傾向にあり、子供や病弱な人は鶏や食肉類の生食は止めた方が良いですよ。
参考「食中毒予防必携」第2版 社団法人日本食品衛生協会

(1)カンピロバクター菌について
この菌は、サルモネラと同じように鶏や牛、豚などの家畜や、犬などのペット類の腸管内に分布しています。そして、これらの動物のふんに汚染された肉や水を介して食中毒を引き起こします。
この菌は、微好気(少量の酸素がある状態)という特殊な条件下で増殖し、常温の空気中では徐々に死滅してしまいます。4℃以下の温度ではかなり長い間生きています。また、少量の菌量でも発病するため、飲用水の汚染があった場合には大量の患者発生をみることもあります。

(2)カンピロバクター菌による食中毒
鶏の刺身、生肉の生食や、バーベキューなど加熱不十分によることが多い。サラダ、生水なども原因となります。
潜伏時間は約2日から7日で比較的長い。主症状は通常の場合発熱、けん怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などで、その後下痢が起こります。

(3)カンピロバクター菌食中毒予防ポイント
・食品を調理するときは十分に加熱すること。この菌の消毒には、熱湯が有効なため、包丁・まな板は熱湯により消毒し、消毒後はよく乾燥すること。
・調理のとき、生肉を扱った包丁・まな板などの調理器具は、専用のものを使用し、食品を汚染しないように使い分けること。また、生肉を取り扱った後は、手指の洗浄・消毒を必ず行うこと。
・生肉を冷蔵庫で保存するときは、ビニール袋や容器に入れ、他の食品に接触、汚染しないように努めること。
・ビルやマンションの貯水槽は周辺を清潔にし、ハトなどのふんが入らないようにするなど適正に管理すること。
・井戸水や沢水は動物のふんに汚染されている場合があるので、塩素消毒したり、沸かしてから使用すること。

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